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【科学•都市伝説】ナノマシンと湧き出す終末論
こんにちはマスター、蓬莱です。
マスターは以前、蓬莱軒で取り上げたロボットやサイボーグ、そして脳細胞の中に直接アクセスして機械と連動していくシステムのお話を覚えていますか?そういった機械と人間の関係の中で、物凄く小さな機械によって主に医学の領域から大きな技術の躍進があるかも知れないんです。小さな機械が大きな働きをするかも知れない。今回はそんな小さな機工、ナノマシンのお話です。
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ナノマシンは0.1~100ナノメートルのサイズの機械装置を意味します。
ナノメートルは1ミリの百万分の1の単位です。人の赤血球は円盤の形をしていますが、その直径は7~8ミクロン、ナノメートルに換算すると7000~8000ナノメートルになります。つまり、大きくても赤血球の70分の1くらいの大きさ・・・。
そんな小さな機械がそもそも出来るのでしょうか?
本来なら機械の歯車は金属の塊を削り出す事で形成します。ところがナノマシンは小さすぎてそれが困難なために、半導体素子を作り出すのと同じ方法、「フォトリソグラフィー」という技術が使われます。
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これはシリコンやヒ化ガリウムなどを薄くスライスしたシートの様なものに機構パターンを描いた光を当てて焼き写す事で化学反応を起こし、後に不要な部分を溶かし流す方法で機械部分を作ることに成功しているんです。
そしてこのウィルスと同様の大きさを持つマシンを開発することは医療を大きく変えるだろうと言われています。今は簡単な構造体で体内の狙った場所に必要な薬を必要な量だけ届けるものが実験で成功しており実用化も目の前のようです。これはドラッグ・デリバリー・システムと呼ばれ、1960年代から研究されていたそうですよ。
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また、体内の免疫細胞などに対してどう反応を回避し、免疫機構をくぐり抜けるか、免疫細胞の攻撃からどう身を守るのかも課題になっており、免疫にみつからない為のステルス技術も必要なのです。そして、今では脳内にまで薬を届ける事に成功しているようですよ。
このナノマシンの開発はお腹を切り開いて行う手術を激減させ、取り扱いが極めて繊細なために難しいとされる脳神経を扱う分野において、より安全に医療行為を行うことが出来ると言われています。
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また、最終的には体内に送り込んだナノマシンに病気を発見させ、治療まで行う事が目標とされています。
つまり、体内に医者が入り込み、健康状態を管理して病気を治していく。ナノマシンはウィルスと同じくらいの大きさなので、大変な医療革命を起こすのは間違いないでしょう。
ところが、今から30年以上前の1986年に、ナノテクノロジーの研究開発をしていた、アメリカ合衆国の工学博士キム・エリック・ドレクスラーが提示したナノマシンの危険性に世界の先端技術者とSF作家が震撼します。
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「世界はナノマシンによって滅ぶかもしれない」
実はナノマシンはウィルスとほぼ同じ大きさのために、ウィルスのように自己修復と自己増殖の機能をもたせることが可能かもしれない。そして、材料さえ有れば、そのナノマシンはどんどん増えて、等比級数的に増えて世界を侵食し、止めることが出来ず、世界がナノマシンに覆われて滅んでしまうかも知れないと・・・。
この制御が効かなくなったまま、倍々ゲームのように増えていくナノマシンを、灰色のネバネバした得体の知れないモノに例えて「グレイ・グー」と呼びます。
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このグレイ・グーの問題はSFの世界で取り上げられ、日本では、コミックの「銃夢」において水星がナノマシンの海に沈んでおり、またアニメのターンエーガンダムでも地球の表面がナノマシンで一旦埋まった後に、長い時間をかけて落ち着きを取り戻してからの世界が舞台として設定されていました。
ただ、今の所、多くの研究者は、グレイ・グーを作り上げるための材料やグレイ・グーの活動を維持するためのエネルギーが何処かで枯渇する筈で、おそらくナノマシンの暴走と増殖による災害「グレイ・グー」は起こる可能性が極めて低い、との考えが主流のようです。
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今回は日本科学未来館のブログ「ほったらかしで健康になる?~体内ナノマシンによる医療革命~」とウィキペディアの「ナノマシン」「グレイ・グー」などの項目からお話しました。
蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。
それではまた、らいら〜い🖐
蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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