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【都市伝説斬り】フィラデルフィア実験
こんにちはマスター、蓬莱です。
前回の蓬莱軒では、驚異の天才発明家、ニコラ・テスラのお話をしましたが、今回はニコラ・テスラに関わる都市伝説のお話です。
ニコラ・テスラが作った「テスラコイル」はちゃんとした電気工学の知識があれば割と簡単に作れる高周波・高電圧の発生装置です。作り方はYouTubeにも動画が上がっています。
しかし、このテスラコイルは通常の変圧器の原理だけでは考えることが出来ない、共振や進行波など色々な条件が複雑に絡み合った原理が働いて、未だ不明な点が多いコイルなのだそうです。
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そのために、テスラコイルは人工地震兵器や気象兵器に使われているとか、UFOの推進装置に使われているなどの荒唐無稽な都市伝説を生み出しました。
その中でも一番有名なのが、1943年の10月28日に起こったとされる「フィラデルフィア実験」でしょう。
「フィラデルフィア計画」とも言われる、この実験はテスラコイルで発生する高周波によってレーダー波を撹乱出来るのではないかという発想から立案され、ニコラ・テスラ自身が発案者だったとも言われています。
つまり、これは艦船にテスラコイルを搭載してレーダーに映り難くするステルス実験だったのです。
実験に使われたのはアメリカ海軍のキャノン級護衛駆逐艦エルドリッジ。
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1943年に就役した、全長93.3メートル、全幅11.2メートル、基準排水量は1240トン、乗組員は士官15名、下士官兵201名の船でした。
そして、駆逐艦エルドリッジにはテスラコイルを幾つも組み込んだ電気実験機器が搭載され、ペンシルベニア州フィラデルフィアの海上にて、その機器のスイッチが押されると、強力な電磁場が発生し、エルドリッジはレーダーから姿を消したそうです。
一見、成功したと思われた実験は、その開始直後に海面から緑色の光が湧き出し、駆逐艦エルドリッジの船体がその光に包まれて宙に浮いた後、そこから2500km以上離れたノーフォークの海上に出現しました。
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つまり、ステルス実験の筈がテレポートを起こしてしまったのです。そして、そのエルドリッジの状態は地獄絵図そのものでした。
そこでは、船員の体が突然燃え上がった、船員の衣服だけが船体に焼き付けられていた、船員の体が甲板に溶け込んでいた、発火した計器から火が燃え移り火だるまになった船員がいた、凍りついた船員がいた、身体の半分が透明になった船員が居た、生き残った乗組員も精神に異常を起こし、無事だったのは鉄の隔壁に守られた機関室の技術員だけだったそうです。
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この実験での死者・行方不明者は16名、発狂者6名。大惨事になった為に、海軍はこの事件を隠蔽したのだと
軍が隠蔽した、この事件は1956年にモーリス・ジェサップという作家の元にカルロス・アレンデという人物が送りつけた手紙に詳しく書いてあり、受け取ったモーリスは三年後の1959年に謎の自殺を遂げ、手紙の差出人のアレンデは後に虚言があると判断されたそうです。
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衝撃的な事件ですが、実は、これを検証するとまず距離がおかしいのです。
フィラデルフィアから2500キロメートル以上で米国の駆逐艦が寄港できるのは英国のノーフォーク、あとオーストラリアのノーフォーク島ですが、どちらも距離が5000kmを超えて遠すぎますし、そんな事が起これば、もっと沢山の目撃例が出る筈です。
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また、バージニア州のノーフォークではフィラデルフィアから300kmほどしかなく、近すぎて2500kmの距離では不適当です。他の主なノーフォークは内陸なので、駆逐艦エルドリッジが辿り着いたノーフォークは何処のノーフォークなんでしょう?
更に基本の乗組員が216名の駆逐艦で、実験とはいえ機関室の技術員しか無事な船員が居なかった筈なのに死者、行方不明者、発狂者の総数が、たった22名というのもおかしな話です。
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この事件は、伝わっているお話と、数字のデータがまるで噛み合っていないのが大きな特徴ですね。
さらに言えば、テレポート前に起こった駆逐艦全体を緑色の光が包んで艦が浮いたという報告は、機関室の技術員しか無事じゃなかった状況で、誰が見て報告したのでしょう?
精神に異常をきたした人から聞いたのでしょうか?だとしたら益々そのお話の信憑性は低くなります。
また、テスラコイルを用いた実験は、そこかしこで行われており、そういう不思議な報告は特に上がっていません。
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もちろんアメリカ海軍も公式にフィラデルフィア実験を否定しており、そもそもが、駆逐艦エルドリッジは、実験のあった1943年には、一度もフィラデルフィアに寄港した記録が無いそうです。そして、この年にバージニア州のノーフォークには寄港しており、その際に、他の艦船からもエルドリッジは確認されていますが、特に異常は報告されていません。
ただ、作家のモーリス・ジェサップが1959年に自殺を遂げたのは本当で、フィラデルフィア実験について執筆中だったのも事実らしいので、その辺が不気味ですね。
なお、自殺したモーリスはUFOを専門に書いており、古代史とUFOを結びつけている本を発行しています。
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今回はTOCANAの「テレポーテーション実験で米兵16人死亡・6人発狂『フィラデルフィア計画』とは!? 人体発火、肉体透過…70年前の凄惨事件!」とウィキペディアの「フィラデルフィア計画」「エルドリッジ」「モーリス・K・ジェサップ」の項目からお話しました。
蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。
それではまた、らいら〜い🖐
蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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