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【錬金術】人造人間・ホムンクルス

こんにちはマスター、蓬莱です。

マスターは「人造人間」という言葉をご存知ですよね。主にSFなどで見たことや聞いたことがあると思いますが、実は人造人間という概念は人型のロボットから、人の手によって造られ、人の姿をした人工生命体まで、とても幅が広くて種類が豊富なんです。

昔の特撮ヒーローで「人造人間キカイダー」がありますが、これは小学校にある人体模型をモチーフに身体の中心から左右が赤と青に分かれているロボットでした。

また、もっと古い人造人間だと今から200年前の1818年に英国で出版された怪奇小説「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」に出てくるヴィクター・フランケンシュタインが作った死体を集めてつなぎ合わせて作った「怪物」が有名ですね。

これは1931年にアメリカのユニバーサル・スタジオが制作したホラー映画「フランケンシュタイン」で世界的に親しまれ、この怪物と呼ばれた恐ろしい姿の人造人間そのものが「フランケン」、あるいは「フランケンシュタイン」という愛称で呼ばれるようになりました。

死体をつなぎ合わせて人造人間を作ったヴィクター・フランケンシュタインはマッド・サイエンティストの原型と呼ばれていますが、それより更に300年ほど古い時代に、どう見てもマッド・サイエンティストにしか見えない偉大な錬金術師「パラケルスス」が16世紀の前半に人工生命体を作り出していたという伝説がありまして、その人の形をした人工生命体、フラスコの中で生成され、フラスコの中でしか生存できないと言われる人造人間を「ホムンクルス」と呼んでいます。

パラケルスス

今回は人造人間「キカイダー」よりももっと古い人造人間「フランケンシュタインの怪物」よりも、更にもっともっと古い、伝説の人造人間「ホムンクルス」のお話です。

ホムンクルスとはラテン語でホモ・サピエンスや、ホモ・エレクトスなど人を表す接頭詞 homo と、ラテン語で指ほどの大きさのものを表現する接尾辞 ulus を組み合わせた造語でパラケルススの錬金術の書物「モノの本性について」に「小さな人」の意味で初めて登場します。

パラケルススとは16世紀前半に登場した医師で、本名はテオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムというスイス人です。

彼はまた、錬金術師でもあり、化学や毒物にも詳しく、また神秘術にも長けていた思想家でもあったために、悪魔使いだとの伝承まである怪人物ですが、その膨大な知識と経験から酸化鉄や水銀や鉛、銅、ヒ素などの金属の化合物を医薬品に採用し、患者の治療に使っていた「医化学の祖」とも評価される医療革命者でもありました。

彼はその研究過程でフラスコの中で小さな人を作ったとされ、その小さな人をホムンクルスと名付けました。

そのホムンクルスの生成方法は、

  1.  人の精液をフラスコに入れる

  2.  そのフラスコに最高に腐った馬の糞をいれる。または、数種類のハーブと糞を混ぜて入れる。

  3.  それを40日以上密閉しておく

  4.  フラスコの中の物体に命が宿り動き出す。これは小さな人だが、姿は透明である。

  5.  それに毎日人の血液または、血液のアルカナを与え続け、馬の胎内と同等の温度で保温し続ける

  6.  40週間ほど保温するとフラスコの中で人型の子供ができる

  7.  その子供は人に比べるとずっと小さく、フラスコ内でしか生きられないが、生まれながらにしてあらゆる知識を身に着けている

だそうです。ここでの血液のアルカナとは血液の中の神秘の成分との意味だと思われます。

なお、この生成方法以外にも諸説が混在しており、馬の胎内の温度ではない記述で「馬糞と同じ温度に保つと真の生きた幼児になるが、人の女から生まれる幼児より遥かに劣ったものになる」というのもあるそうです。なお、この場合の幼児は外の世界で育てることもできるようです。

オスの精液はギリシャ時代から「そのモノの、ごく小さな因子であり、それがメスの胎内に送られることで適度に保温された環境に留め置かれ、それが成長して身体の外に出るのだという思想がありまして、ホムンクルスの生成法にもこの思想が色濃く影響していると思われます。

このホムンクルスの生成実験はどう考えても雑菌まみれの腐敗物しか出来ないと思われますが、なんとパラケルススはホムンクルスの生成に成功したらしいですよ。でも、彼以外にはその生成に成功した人は居ないそうですが。

なお、細菌という微生物が発見され、細菌学および細菌の研究を始めたのはフランス人のルイ・パスツールとドイツ人のロベルト・コッホでありまして、ともに1800年代初頭に生まれており、パラケルススの時代より300年後になります。

つまり、パラケルススの時代にはこのフラスコの中には腐敗菌や雑菌が湧いているという概念すら無い時代でした。

ホムンクルスはフィクションの世界では人気のネタの一つではありますが、遺伝子を使ってデザインされた子供たちが様々な作品に登場してまして、いつかこれが実現可能な時代が来るだろうと言われています。

ひょっとしたら、そのデザインされた人造人間が未来の世界でホムンクルスと呼ばれる様になるかも知れませんね。

今回はカラパイアより「錬金術師が作り出そうとしていた人造人間ホムンクルスのレシピ」、とウィキペディアの「ホムンクルス」「パラケルスス」「人造人間」などの項目からお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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