【都市伝説】遅刻する食パン少女
こんにちはマスター、蓬莱です。
マスターはコミックやアニメなどで、食パンをくわえた少女が通学路の曲がり角で、転校生の少年とぶつかるというシーンをご存知ですか?少女漫画から始まったと言われ、ボーイ・ミーツ・ガール物の定番展開の一つ、おなじみのシーンでもありますね。
ところが、このおなじみのシーンは、本当はおなじみでは無かったのに、少女漫画の典型的なパターンとして紹介され、後々になって、それを面白がった人たちが次々と作品に採用し始めたらしいのです。そして、本当の定番展開になってしまったとか。
今回は存在しないにも関わらず、定番展開として紹介され、その認識が定着してしまったために、沢山の作品にパロディ的に使用され定番化しちゃった「遅刻する食パン少女」のお話です。
とある少女漫画の主人公が、寝坊して朝食のパンをくわえたまま走り、時として「いっけなーい遅刻遅刻」と話すとか考えている途中の曲がり角で少年にぶつかり、そこで少し悶着があった後に、教室でその少年が転校生として紹介され、恋の物語が進み始める
このシチュエーションが描かれたのは、1990年に漫画家の相原コージ氏と編集者の竹熊健太郎氏によって出された漫画「サルでも描けるまんが教室」の第9話です。
少女漫画における定番展開として紹介され、これがきっかけで、このシチュエーションは、多くの人に少女漫画でよく見る光景として認識され始めたと思われます
ところが、1960年代以降の少女漫画に詳しい、お菓子の研究家の福田里香さんや、サブカルやエンタメに詳しいライターの田幸和歌子さん、そして、イラストレーターのはいおくさんによって、このシーンは古い少女漫画では殆ど使用例が確認出来ない事が指摘されています。
2005年の田幸和歌子さんのエキサイトニュースでの記事によると、田幸さんは少女漫画85作品を対象として調査し、「遅刻、遅刻」と口にしていた漫画はわずか5作品だったとか。
また、主人公が恋をする相手が転校生の場合も4作品しか無く、「食パン」「遅刻」「衝突」「恋」の要素を全て満たす作品は皆無だったそうです。
なお、このエキサイトニュースの記事を受けて、はいおくさんが、少女漫画雑誌の「りぼん」を1970年から1985年まで読破して、そのような漫画は存在せず、このシチュエーションは定番シーンとは言えないと断定しています。
さらに、お菓子研究家の福田里香さんは、このシチュエーションの初出を「サルでも描けるまんが教室」の第9話と推定し、原作者の竹熊健太郎氏にメールで質問したところ、彼からは「直接的な典拠、つまり、出典にあたるような根拠は無く、幾つかの事例を複合した」という回答と共に、「彼が中学生の頃の1970年代には一種のパターンだという認識があった」という旨を返したそうです。
なお、遅刻しそうになって食パンをくわえて家を飛び出す場面は1960年代の「フジ三太郎」で、また同様のシチュでおにぎりをくわえて家を飛び出す場面は「ハリスの旋風」で描かれており、その前にサザエさんで、磯野ワカメがパンをくわえて家を飛び出してるシーンが描かれているとか。
また70年代の少女漫画「つらいぜ!ボクちゃん」には遅刻しそうになった少女が少年に衝突するシーンがあり、少年漫画「1・2の三四郎」にも同様のシーンが描かれているそうです。
つまり、食パンをくわえて走るシーンと、曲がり角で異性とぶつかるシーンが竹熊健太郎氏の中で混ぜこぜになって、それを、少女漫画の定番シーンとして発表してしまい、それを見た多くの人の認識にそれが定着してしまった・・・というのが真相のようです。
ちなみにネットリサーチ会社ディムスドライブの調査によると。遅刻しそうになってパンをくわえて家を出たことのある人は10.1パーセント、それをやってみたいと思う人は11.4パーセントとの回答が得られたそうです。スイカ羊分析官も遅刻しそうになって中学校の時にパンをくわえて家を出たことがあるそうですよ。誰ともぶつかりませんでしたが。
今回はウィキペディアの「遅刻する食パン少女」の項目からお話しました。
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それではまた、らいら〜い🖐
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