鳩界のスラム街に立ち入れ

鳩が野糞の後ストリートファイトをしていた。

鳩。

たとえば、あなたがベンチでランチを楽しもうとおもったら、ハイエナのような鳩が来襲するのを覚悟したほうがいい。だいたい、来る。

そういうところから考えると、ゆるく嫌われてるとおもわれる。そんな鳥である。

昼飯を食べていると、よく鳩が寄ってくる。

2、3羽のグループだったり、おひとりさまもくる。

昨日は、2羽だった。

何とはなしにそいつらをながめていると、あることに気づく。

歩くリズムがちがうのだ。一方はタンタンと一定のリズムで歩いているが、もう片方はタタン、タタンとパチンコで大勝したおっさんの帰路くらいごきげんなステップを踏んでいる。

おお、とおもって見続けていると、おっさんの方が唐突にウンコをした。

なんの前触れもなく、タメもなく、さもそれが当然行われるべき振る舞いであるかのように、ウンコをしたのだ。

まじか、とおもった。おまえ、まじかと。

こいつはかなりおもしろいな、とさらに観察を続ける。

すると、おっさんが近くにいた片割れにちょっかいをかけ始めた。

片割れの方はむちゃくちゃうざそうにしているが、おっさんは絡むのをやめない。見るに堪えない。

と、次の瞬間。

おっさんが片割れのくちばしを奪ったのだ。

仰天した。

しかも片割れの方もいきなり仕掛けられたもんだから怒り出して、己のくちばしでおっさんを突きはじめた。

なんだここは、野糞が突然生み落とされ、ストリートファイトが始まる。

知らず知らずのうちに、鳩界のスラム街で、昼飯を食っていたのだ。