認知症って治るの?
認知症の背景には、脳の老化が原因としてあります。
認知症の場合は年齢相応以上に脳の老化が進行しています。
しかし、年齢相応の生理的な脳の老化は誰にでも見られることで、完治はできません。
以上の事を踏まえて、今回は『認知症(年齢相応以上の脳の老化症状)は治るのか』について解説していきます。
認知症の原因となる病気は、研究者によって異なりますが50〜100前後あると言われています。
原因となる病気によって、症状や経過が異なってくるため、治療方法、ケア・援助における関わりも異なります。
そのため、原因となる病気を特定することが大切です。
中には早期に原因となる病気を治療する事で、認知機能が回復する場合もあります。
・慢性硬膜下血腫
・HIV脳症
・神経梅毒
・甲状腺機能低下症
・正常圧水頭症
・肝性脳症
・ビタミン欠乏症
などです。
しかし、原因となる病気がきっかけで脳の神経細胞が死んでしまう神経変性疾患(アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症など)は、死んでしまった神経細胞を治療で完全に元に戻す事はできません。
そのため、早期に発見し進行を抑制することが大切となります。
また、認知症と間違えられやすい状態として、前回解説したMCI、他にもうつ病やせん妄といったことがあります。
これらの場合、認知症と決めつけずに適切な診断・治療をすることが大切です。
〈MCIの場合〉
早期診断し治療を開始することで、認知症の進行を抑制できる可能性があります。
(詳しい事は前回のnote)
〈うつ病の場合〉
うつ病が原因で意欲が減退し、認知症に似た症状(記憶力・注意力の低下など)が出現しているため、うつ病が治ることで認知症様症状は無くなります。
認知症にうつ病が合併している場合や、うつ病の認知症様症状から認知症に移行することもあるため、注意が必要です。
〈せん妄の場合〉
認知障害が急激に発症したり、夕方や夜間に悪化する場合、せん妄が疑われます。
数日から数週間で治ると言われています。
認知症の人がせん妄になっている場合もあるため、注意が必要です。
長々と説明してきましたが、たとえ脳の老化は避けることが出来なくても、認知症が完治することがなくても、決して不幸になるというわけではありません。
早期に発見し適切な治療を行うことや、関わる家族やスタッフの対応の仕方によって、認知症の進行を遅らし穏やかな生活を送ることが出来ます。
認知症を治すという考え方よりも、認知症とともに生きるという考え方が大切となってきます。
【今回のポイント】
認知症って治るの?
・認知症の原因となる病気によっては、症状が回復する場合がある
・適切な診断を受け、治療をすることが必要
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