ドクターカー出動の実際①ドクターカーの概要と適応
こんにちはCAMP GEAR TOKYOです。
はじめに
私は普段は救命救急センターで看護師をしています。
看護師業界でもドクターカーやドクターヘリに乗って活躍している看護師って少数だと思います。
そしてその情報を発信しているコンテンツあまりありませんよね?
なのでドクターカーに今まで数えきれないほど乗車した私が
ドクターカー乗車の実際をお伝えできればいいかなと思って投稿しています。
ちなみに
私は、救急救命士の資格保持、日本DMAT隊員であり
JPTECやJNTECのインストラクターを経験しています。※現在は忙しくてしていません。
ドクターカーとは何か?
ドクターカーは、人工心臓マッサージ機や人工呼吸器、検査装置の医療器械を搭載し、医師、看護師が同乗し、医療機関搬送前の現場へ出動する救急車の一部です。(2021年9月でのwikipediaより)
主には消防署に医師や看護師が常駐して、救急車と同じような運用を行っているドクターカーと医療機関に緊急車両を準備し、そこに医師、看護師が乗車して看護師が同乗する場合があります。
私は医療機関にある緊急車両で医師と現場に駆け付けるタイプのドクターカーに乗車しています。
どんな事案でドクターカーが活躍できる?
実はドラマであるようなヘリコプターやドクターカーの適応になるような症例は多くはありません。
現在、日本における救急車の到着するスピードは全国平均で約8.7分です。(令和2年総務省発表)
そして、救急医療の鉄則として現場滞在時間をなるべく減らすことが広く浸透している鉄則です。
救急車を一般の市民が要請した場合には8分ほどで救急車が向かい、そして同時にドクターカーを要請していたとしても救急車の方が先に現場に到着すると思われます。
私は10年以上ドクターカーに同乗していますが、
現場に救急車より先に到着(先着といいます)したのは1回だけです。
簡単にいうと、
ドクターカーを要請する場合には患者さんの現場滞在時間が延長することが多いのです。
ドクターカーで行える処置は、病院で行う処置よりも安全性に欠けること、限界があることがあります。
なので病院前医療は現在の日本ではあまり成長していませんね。
ドクターカーやドクターヘリの対象になる事案
ドクターカーやドクターヘリの活躍になる事案を説明します。
山や車両で行くには困難な場所にはドクターヘリは有効です。
それに加えドクターカーでは
患者さんが閉じ込められている
何かの下敷きになっていて脱出に時間がかかる
患者さんの緊急度が高い
他施設からの受け入れが困難な症例
災害や多人数の傷病者がいる
現場での手術や処置が必要な症例
が適応と思われます。
つまり、現場でも滞在時間が延長することが許容できる場合
もしくは現場滞在時間が延長することよりもメリットが発生する場合に
ドクターカーは有効であると思われます。
実際にドクターカーで出会う患者さん
実際にドクターカーに乗車すると、8割以上は外傷の患者さんです。
ドクターカーで出動の多い事案
交通事故や工場での機械に挟まれた患者さん
溺水で処置が必要な場合
転落や墜落、電車にひかれてしまって重症な場合
何人かの患者さんが現場にいる交通事故
乳幼児の心肺停止の患者さん
です。どの事案も看護師としては出会いたいくありません。
ドクターカーに乗車するためには?
ドクターカーに乗車するためには当たり前ですが
ドクターカーを常備し、運用している施設に就職する必要があります。
その中でドクターカーに乗車できる看護師は一握りだと思われますが
希望さえすれば、チャンスは訪れると思います。
とりあえずは、技術や知識を高める必要があります。
病院内でまともな仕事ができない状況ではドクターカーの中や現場で
高い技術を行うことはできません。
なので基本的な外傷を学ぶ必要があると思われますので
JPTECやJNTECの知識や技術を習得することが大切です。
手術の知識や技術が大切かどうかについては施設によると思われますが
あることに越したことはないと思われます。
コミュニケーション能力と危険を察知する能力は大事
病院と違い、ドクターカーは閉鎖空間で人的資源は限られています。
判断するのは同行する医師と看護師でその場の医療を判断しなくてはいけません。
なので医師や消防隊員、救急隊員とのコミュニケーション能力。
患者さんやその家族と落ち着いてコミュニケーションを行える能力が求められます。
何より大事なこと
ドクターカーやドクターヘリが出動して帰還するための最低で最高条件
現場活動で一番大事な条件は
安全に帰ってくることです。
絶対に事故に巻き込まれたり、怪我をしてはいけません。
患者さんを救うための人材が事故に巻き込まれる、怪我することは大きな損失になります。
なので同僚が出動するときには絶対に
「安全に気を付けて帰ってきてね!」って見送りますし
自分が一歩、病院からでるときには
「安全第一!」って思いながら出動しています。
まとめ
今回はドクターカーの概要と適応事案についてお話しました。
今後は少しずつ現場でのお話しを話せる範囲で話していきたいと思っています。