#写真を趣味から仕事へ
11月9日、.colony、Photoli、ミツバチワークスによる写真についてのトークイベントに行ってきました。
テーマは「趣味から仕事へ。1歩前に進むために大切にしたいこと!」
ハッシュタグも #写真を趣味から仕事へ だったように、写真を撮るのが好きな人がその先に進むためには何を大切にすればいいのか? という問いについて話そう、というもの。
登壇者は3人の主宰者。
.colonyの主宰者 古性のちさん(@nocci_84)
Photoliの主宰者 横尾涼さん(@ryopg8)
そして雑誌GENICを刊行するミツバチワークス(株)の代表 光山一樹さん(@genic_web)
テーマは上に書いた通り。
かみ砕いて考えるために用意された問いが次の4つ。
・いま必要とされるフォトグラファーって、どんな人?
・写真が仕事になるきっかけとは?
・いま注目している人は?
・今後大切になってくると思うことは?
この4つの問いを、フォトグラファーとして依頼を受けるのちさん、メディアとして依頼するクライアント側のGENIC光山さん、その両面の性格を持つ横尾さんの立場でお話しをしていただきました。
約4000字。しんどい。読んで。
1.どういうフォトグラファーに仕事を依頼したい?
光山さん 写真や添える文章に心惹かれるものがある人。
好きなことを伝えられる、自分の「楽しい」を表現している人がいい。
じぶんごととして捉えている人の発信のほうが、読みたくなる。読み手から遠くない距離感でキラキラしている人。過剰にキラキラしている必要もないし、キラキラしてる人のまねをして背伸びや無理をする必要はなくて。
「好き」や日々の小さな喜び、そのキラキラを写真や文章で表現できる人
横尾さん 「ここは絶対負けない」というものを一つ、二つと見つけること、持っていること。そしてそれを言語化できること。
好きを突き詰めて、深いものがある人。そういう人は、自分がやっていることをうまく言語化できている。綺麗な写真を上げている人は沢山いるけど、自分がなぜそうしたか、どうやってそれを撮ったかの理由を言葉にできている人はそこまで多くない。
やれないのかやらないのかわからないけど、できていない人は多いから、それができるだけで一歩先には進める。
自分がやっていること、やりたいことを言葉にできる人
のちさん Photoliの場合、それができている人が多い印象。
横尾さん Photoliの前提として、写真の撮り方のような技術的なことから、素敵なフォトスポットなど、そういうことを教えることで、写真を撮ることによる自己表現の補佐をしたい。そういうコンセプトがある。
そんなPhotoliで、いまフォトグラファーは10人強。全員が僕には撮れないような写真を撮る人。デザイナーや編集者、マーケターもそうだけど、僕にはできない発想や視点で仕事をする人ばかり。
「この視点で撮るのか!?」みたいな。自分の視点だけになると偏る。それはメディアじゃなくて僕のブログになってしまう。多様な視点が欲しいし、必要。
言語化するためには、良い聞き手を見つけて、3時間くらい付き合ってもらうとかするといいかも。(Photoliの場合、代表の横尾さんや編集の人が質問攻めにしているので、言語化に役立っているのかも?)
誰にも負けないものや視点がある人
もうひとつ。テキストコミュニケーションが上手い人がよい。
Photoliではオンライン上でのやりとりがほとんど。そこで文字だけの淡白な伝達だけじゃなくて、カジュアルで親近感のあることばや、絵文字が添えられているとか、そういう感情を感じられる気持ちの良いテキストコミュニケーションができる人のほうが、いいなという心象になる。
返事が早くても事務的な人よりも、すこし遅れても気持ちが良い文章だと印象は良い。(遅すぎはアレだが)
そういう人だと、SNSの投稿も思いが伝わりやすいものが多い。
2.写真がきっかけとなるきっかけは?
光山さん GENIC Webの場合、できるだけ実際に会いたい。たとえば、GENIC LOCALSで仕事をお願いしてる人は、全員実際に会った人たち。(例:ぽんずさん、こやまりんこさん、オリンさん、Kicchanさん)
そのきっかけは色々で、たまたまイベントで会ったり。電話もある。直接話すというか。
ただ、会ったからといってすぐお仕事を頼むわけじゃない。仕事につながるまで1年から数年かかったり。それでも会った人って覚えているもので、ある仕事が来たときに「これはあの人が得意なんじゃないか?」って、仕事を依頼する繋がりができる。
ガチガチの固い仕事を初見の人に依頼はできないから、そうやって会って、交流があって、つながりのある中で、あとあとこの仕事が頼めるぞ、っていう人にお願いしている。
会うことで、思い出してもらえる、頼まれる人に
横尾さん Photoliではオフラインで会って、仕事をというケースはなくて、大体がTwitterやインスタで見かけて、いいなと思った人に依頼する。
(光山さん GENICも雑誌はオンライン上が多い)
光山さんと同じく、大事な案件では、すでに一回以上依頼していて、この人はいいなって好印象な人に依頼することが多い。
やはりそういう良い印象を積み重ねることが大事。
テキストコミュニケーションの繰り返しだけど、メールやDM、リプライなんかでのやりとりが心地良くて、かつ前提として依頼に合うものが撮れる人なら、頼みたいと思える。
リプライとかから依頼に発展したこともある。リプライ自体嬉しいし、見る。ただ、SNS上で見つけた場合、マイナスな印象が無い方が良い。TLを遡ってみて、怒りや愚痴が多いと、頼めないこともある。
良い印象を積み重ねていくことで、仕事につながっていく
のちさん 依頼される側としては、チームでやって、届くように動くこと。
現在FUJIFILMのサイトで連載をしている。
そのきっかけは、2018年のFUJIFILMフォトウォーク開催。私のカメラがFUJIで、FUJI好きの有志でフォトウォークやろうとなった。それがたまたま富士フイルムの生誕記念日で、じゃあ「生誕祭」にしようとハッシュタグを作って、「FUJIFILM生誕祭」に昇華させた。
すると、自分達とは直接関係ない全国のFUJI好きが各地でフォトウォークを展開。相乗効果で日本中で盛り上がるイベントになり、FUJIFILM公式の人に届いた。それがきっかけで現在の仕事につながっている。
この流れは、一人でハッシュタグつくってささやかにやっても仕事にはならなかった。タッグを組んでフォトウォークをしたからつながったもの。今の自分の立ち位置では届かないことも、チームを組んでイベントを企画したりすれば、大きな動きになって何かにつながることもある。ってこと。
それに、チームができてこうやって実を結べば、いずれ還元したいってなる。
横尾さん これは本当に、FUJIFILM好きがその好きを楽しくワクワクしてやってたから、各地にも届いたし、公式にも届いた。なにか打算があってやると、それも伝わることは多い。
一人でやれることは限られる。一緒にやれる人がいるといい。
足踏みしてると感じる人は、仲間を作ろう
3.いま注目してる人は?
光山さん 山口裕加さん(@yucca88)
自炊をキーワードに、食べ物の写真や活動を発信している人。なにかが飛びぬけているわけではないけど、美味しそうな写真がいいし、輝いている。キラキラしている。
それは彼女が楽しんでいるから。それが伝わる。
ミツバチワークスはカメラや旅を深くまでやることよりも、女性の活躍を応援したいというコンセプト。それに山口さんの発信は響いた。
横尾さん 文月ふみさん(@photo.23)
夕暮れから朝日までの時間帯の写真を中心に投稿している人。暗い空に広がる青がきれいで、好き。
この「この人の世界観が好き」と思わせるまでには、積み重ねが大切になる。山口さんのごはんの写真もそう。同じものを積み重ねることの大切さ。
あとは、IGのタイムラインに統一感があってそれも工夫がある。
のちさん 静寂ゆとさん(@shi_no_photo)
周りとちがった視点で撮っている写真に惹かれる。
たとえば紫陽花。綺麗な紫陽花の写真や、女の子が入った写真なんかはとても良く見るけど、この人の写真はアイデアと、それを思いつくセンスがある。傘に花がこぼれた一枚や、ビンに詰めたり。
また、花が好きと言っている人なので、紫陽花や花を見ると静寂ゆとさんを思い出す。こういうキーワード的なものがある人はいいなと思う。
4.今後大切になってくると思うことは?
光山さん 「どう生きるか。」
技術的なこともあるけど、結局はどう生きるか、その積み重ねしかないと思っている。ひとつひとつのことを意識してやっていくこと。写真を撮るのも、ご飯を食べるのも同じ。
また、IGが廃れるとは思わないけど、Twitterにフォトグラファーの流れが来ている印象。IGでフォロワーが多いインフルエンサーに仕事が殺到する傾向から、比較的フォロワーの少ないTwitterのフォトグラファーにも仕事が行くようになっている。
横尾さん 「自分のことを知ろう。」
好きを言葉にできることが大事。
何故これが好きなのか、自分なら何ができるか。誰宛てに伝えたいのか。
自分に問いかけて、答えを言語化できれば強い。
のちさん みんなでやれば実現することもある。
オノヨーコのことば
「ひとりでみるのはただの夢、みんなでみれば実現する」
やりたいことがあるなら、チームを作ってみんなでやれば、叶う。
満員電車と残業の愚痴は減らそうと思いました。
あと久々に自分のイヤホン以外でmoumoon聴けて嬉しかった。
フルーツサンドめっちゃ美味しかったです。
小田原フルーツベイクさん(@odawara_fruits_bake)ことヤマモトサキさん(@ptsr_ymmt)、ありがとうございました…空腹に沁みたぜ。
さあ発信も、好きの追求もがんばろう。
(追記)手話のこと
うっかり書き忘れてしまったのだけど、このトークイベントには手話通訳の派遣があった。
sanmariさんは旅しゃぶでも見知っているので、聴力のことは知っていて。
「え、ここで手話とかいらなくない?」と思ったことが人生で一度もないかというと、ウソになる。
でもいま、手話に対して抱くイメージはずいぶん変わった。
それは語学を学んでいることと、さらに聴力は問題ないけど耳の奥の病気と付き合っていることがあるんだと思う。そうならないとイメージが変わらない自分の狭さは置いておいて。。。
今日、トークセッションでの手話通訳を見ていて、今回のイベントが、sanmariさんのような願いのある人にも近いイベントになったのではと思えた。
これは英語通訳となにも変わらない。手話はことばだ。
そう考えると、ちょっと軽い言い方だからひっかかる人もいるかもしれないけど、「動きでこころを伝える手話って、言語として結構coolだよな」と思った。それに伝わる相手が広がるっていうのは、発信者にとってはそれだけでポジティブなことだと思う。
それに、今日のイベントに絡めれば、写真は視覚の表現だ。
聴覚に悩みのある人たちが、もっと輝けるフィールドだと思う。視覚情報への感度がより強いかもしれない。音以上にビジュアルから読み取れるものが多いかもしれない。
そういう可能性や発見も、今日の収穫。
あいさつくらいは覚えてみようかな。