未解決に向き合う
20数年に渡り、私の中で未解決の案件があります。
それは…
美味しいものを食べると
「頬が落ちるほど美味しい」
「ほっぺたがおちるほどおいしい」
の表現をすることになった経緯についてです。
この慣用句、江戸時代には既に使用されていたようです。
過剰表現と捉えるか、またはある状況を指していたものが段々変わりこの様な呼び方になったのかと考えるか…
因みに、語源を検索すると
・食べ物を頬張り、頬が膨らんだ状態を指す
・美味しいのでほおばり、こぶとり爺さんの様に頬が落ちる風情を表す
・顎が落ちるようだ、とも言う
と検出されます。
こぶとり爺さんの話では、
鬼に楽しい踊りを披露したところコブを取ってもらえた、という内容になっていました。
(話は何パターンかあるようですので全てがこの通りではない場合があります。ご了承ください。)
食べ物が美味しくてコブが取れるのではなく、鬼が超能力で…ということから
この話自体が「食べ物がおいしくてほっぺが落ちる」の起因ではないようです。
また、頬張る=頬が落ちたように見えるからと表現しているのもなんだか腑に落ちません。
ものを食べなくても頬を膨らませることはできるし、頬張ってる自分に対してほっぺが落ちそうと思わないかな…
しかしながら、骨が折れるとか、足が棒になるとか このような慣用句は多数ありますし、
それと同様なんじゃ…と、思いますよね。
実は私は 食べ物を食べた後に、
頬が落ちる様な体感をしたことがあります。
あれは私が小学3年生の頃…
当時CMでやってたラフランス味のガムを食べた時に起こりました。
このガムはずっと食べたかったので、味に対する期待値がとても高かったのを覚えています。
ガムを食べてみると予想に反して酸味が無く、甘くてジューシーでした。また、香りがとってもよくて〜フゥ〜ン🍐
とその時…!!
私のほっぺは筋肉が全く無くなって、頬の肉がずり落ちそう…!な感覚に襲われました。
あわててほっぺを手で押さえちゃいました。
その感覚は10秒程続きましたが、次第に引いていつものほっぺに戻りました。
明らかに筋肉が弛緩していたことを覚えています。
後にも先にもこんな事はこの一度だけで、
後日同じガムを食べてもこんな感覚はありませんでした。
このことを友達に話しても
「口の中がギュ~ッとなる感じ?」等言っていて私が体感したものと同じ感覚を味わった人は居ないようでした。
当時はもやもやとしながらも、他の誰もわからないのであれば仕方ないと思い、そのうち忘れてしまいました。
そしてそれから10数年後…
携帯電話が普及し誰でもいろんな質問を投稿、公開、回答できるようになりました。
私はふと小学生の時のあの体験はなんだったのかと思い出し、質問サイトで聞いてみることにしました。
長年の不思議が明かされる?!と思いワクワクしていたのですが…
頂いた回答は以下のような内容でした。
・そんな体験はしたことがない
・ぎゅ〜となるやつですよね
・医学的には 何か他のことに気を取られていると下顎を閉じておくことができず、口が開いてみえることがある
(筋肉の弛緩とまでは回答されず
ボーっとしている時に口が開く原理を仰っているものと思われる)
・昔の人の誇大表現、その名残
…結局、期待するような回答は得られませんでした。
誰か同じような体験をした、またはこれを医学的見解で詳しくわかる方が居たら…と考えていたのですが望み叶わず。
世の中なんでも明らかにするのは難しいのだと諦め、この件については蓋をすることにしました。
そして11年後…
ふと、思い出してしまいました。
ほっぺが落ちそうになったことを。
過去に質問してから11年も経ったのだからきっと新たな回答資源があるのでは、と
しつこいのですがまた確かめたくなってしまいました。
そこでまず思いついたのが
再度質問サイトで聞いてみる でした。
…なお、11年経過後も同様の質問や回答は増えていませんでした。
この間だれも同じことを考えなかったなんて…そんなはずは…
また、再度同様の質問をしてみたものの どなたも分からないようでした。
次に、慣用句の由来から調べようと
数件の図書館で辞典や関連書のコーナーをあらかた見て周りましたが…
結局明らかにされておらず。
その他の慣用句については詳しく書かれているものの、これについては意味以外の語源や由来は書かれていませんでした。
少し分かったことは、江戸時代の頃は食事、食事の代金のことを顎と呼んでいたことくらいです…関係ないかも知れませんが。
そこで、ほっぺが落ちる の症状について
お医者さんに無料で聞けないかと考えました。
できれば病院へ行くのではなく、家にいながらオンラインで聞ければと考え
そんなサービスは無いか、ネットで検索してみたのですが…
一部無料というのは既に同様の質問があるものに対してbotで返すとか、
他の質問者様の内容が公開されそれがみれるとかで、
個別に質問は聞けなさそうでした。
少し前までは初回無料や期間限定で無料のサービスもあったようなのですが…はやく思い出せば良かった〜
そこで、有料でオンラインからお医者さんに聞くことにしました。
正直、有料という点について 非常に抵抗がありました。
(私の今月の収入は2万円でした…)
しかし、ここで引き下がると一生謎が解明しないかもしれない…と考え 有料質問には意義がある、と自分に言い聞かせました。
今回はどこのオンライン診療を利用したかは伏せますが、利用料は調べたものでは一回につき500円〜2000円ほどでした。
病院に行けないけど何か心配な症状がある方はいつでも聞けるので、良いツールだなと思いました。
また、チャット等文章で回答が残るのも良い点です。
話を直接聞いただけでは聞き間違いや解釈違いもありますし、あとで忘れても見返すことができるのでより正確な診断内容を把握することができると考えます。
これで…解決できるかもしれない…
そんな気持ちで支払いと質問をしてきました。
その結果…
よく分からないそうです。
お医者さんからは様々な見解、推察を丁寧に回答いただきましたが、こういった症状を訴える患者さんや症例は聞いたことがないそうです。
そもそも頬が落ちるような感覚という症状自体が数秒で終わるのでそれを聞いてくる患者さんもいないかな、と思われ…
ちなみに回答頂いた内容は以下の通りです。
※オンライン診療では限られた文章のみで医師の方より推察内容を回答頂いております。
精密に検査した結果ではありませんので正しい診断とは限らない可能性があります。
■実在する症例、体のしくみ
・唾石症
唾液腺の中に石のようなものができ、食事中に唾液腺のある顎の下部に腫れや強い痛みを自覚する。
・顔面神経
顔面神経は、顔面の筋肉を動かす働きの他に
舌の前方2/3ほどの味覚も担当している。
・驚愕発作
てんかんの発作型
音や触覚刺激で筋痙攣、硬直が誘発される。
■状況より推察
・顎が落ちる の語源は、
唾石症の症状からきているのかも?
・顔面神経が未発達な状態では
味覚に反応した運動神経が反射的に動いたかも???
・味覚が驚愕発作の誘発因子になった事例は聞いたことが無い。
・小児期の神経生理については
当人が症状・感覚を訴えにくいことからわかっていないことも多いと思われる。
…なお、単発の自覚症状のみでは今後その原因を確かめるのは難しいと思われる。
以上です。
お医者さんもこんなこと質問されるとは思ってなかったでしょう、親身に対応いただいたことに感謝しております。
でも…解決しなかったなぁ〜
以上です。
ここまでご覧になった方には、解決できず申し訳ないという気持ちです。
…正直、本当にほっぺが落ちそうになった自覚がある立場から言わせると ほっぺがジンジンしても落ちそうって思わないでしょってキレてました。
あと、ほっぺが落ちるほど美味しい〜って言ってる人も、おそらく筋肉は弛緩していないし、
食べ物が口の中で溶けてることを言ってるのかなって思います。(おいしいものは、大体溶ける)
…はぁ〜〜〜〜
ほんとに!!!もう!!!
誰か同じ事思ってるひといないかなぁ!!!!
誰にも共感されず辛いです。
きっと、昔の人は本当に言葉通りの体感をしていたのだと思います。
足が棒になる、も体験したことがあるのできっとそう。
⭐︎本当にそうなのかも…?
この記事をご覧になって、一人でも同じ体験をされた方がいらっしゃいましたら是非教えてください。
また、この慣用句の正しい成り立ちをご存知の方も是非ご一報ください。
何卒よろしくお願いいたします。
最後に、調べたことわざのうち、いくつかをご紹介します。
意馬心猿(いばしんえん)
馬が走り回ったり、猿が騒ぎ立てるのを制御することが難しいように、人の煩悩や欲情が抑えがたいこと
…アンタ、意馬心猿状態だね!とか使えるのかな?
勧学院(かんがくいん)の雀(すずめ)は蒙求(もうぎゅう)をさえずる
常日頃、聞き慣れていたり見慣れていることは容易に覚えられ、身につくという例え
・勧学院は平安時代の藤原氏一門の師弟教育の学校
・蒙求は中国の有名人物の言行を収めた初学者用の教科書
勧学院付近にいる雀は生徒が蒙求を読んでいる声を聞いて、自然にその内容を覚えて口にしているという表現。このことわざは現代全く使われていない死語。
同義では「門前の小僧習わぬ経を読む」がある。
雀が蒙求を言ってたら、ラブリーですね。
庇(ひさし)を貸して母家(おもや)をとられる
ほどこした恩恵に対して、反対に大きな危害をこうむらさらることのたとえ。
「軒を貸して母家取られる」ともいう。
母家の傍の家屋や貸家を借りたものがいつの間にか母家まで取ってしまうという話。
パラサイト!
這っても黒豆
・誤りとして判明しても自説を変えないことのたとえ。
・ものすごく頑固なこと。また、そういう人のこと。
ことわざの生まれた背景として、
床に落ちている小さな黒いものを見て、一人は虫という。
他の一人は豆という。
そのうち、もぞもぞ動き出したので、虫だと言った方が、「ほら、虫だった!」と言うと、
豆と言った方は「い〜んや、這ったってあれは、豆だ」と応酬
そういうケンカはよくありますよね!
流れ川で尻(ケツ)
さっぱりとした爽快な気分にある意。
ほっとしたり、都合の良いことについても言う。
現代、川で尻を洗ってはいけませんよ!
ニラ、ニンニク、握り屁
臭いの強いものを列挙した言い回し。
ラップバトルでも使えそう。
以上です。
私が無駄に調べたことが、皆様にとって何かしらの参考となれば幸いです。
ご覧頂きありがとうございました。