ホップと科学。Part1.01 #BEER #HOP
どうも、Frisbeer guysです。
今回は短めに・・・。
前回の「ホップと科学。」では、図で視覚的に基本的なシナジーを簡単にまとめてみたけれど、もう一度"Scott Janish"氏の論文も併せて簡単に文字で整理しておきます。(自分用)
文字なので図より難解かもしれない。。
・エステル
[イソ酪酸イソアミル、ゲラニル酸メチル、2MIB(イソ酪酸2メチルブチル)など]
主にホップに含まれる、様々なフルーツを連想させるアロマを持つ化合物だが、ホップ由来のエステル類は(揮発性を持つものが多いため)煮沸中に濃度が低下しがち。
⇒ワールプール中やドライホッピングにより抽出すると効率が良い。
・3S4MP(3スルファニル4メチルペンタン1オール)
ネルソンソーヴィンやトマホークに多く含まれるチオール類の一つ。
2MIBの知覚を高めるシナジー効果があり、それぞれの化合物がリッチなホップを組み合わせることで(例:ネルソンソーヴィン+サザンクロス)、アプリコットの様な香りを増強できる(かもしれない)。
⇒長めのワールプール(低温)抽出が良い。
・4MMP(4メルカプト4メチルペンタン2オン)
特にシムコー、サミット、アポロ、トパーズに多く含まれる。
モノテルペンアルコールに相加的効果を与えると考えられており、ワールプールやドライホップなどで4MMPを供給してやることで、リナロールやゲラニオールなどの知覚を高めることが期待される。
・3MHA(3メルカプトヘキシルアセテート)
3MH(3メルカプトヘキサン1オール)が発酵中に酵母の生体内変換を受けることで生成される。3MHは100℃に近い高温で長時間煮込むほどより抽出されるのでケトルホップの工夫が重要になる。
また3MHは遊離型のほか前駆物質としてグルタチオンやシステインなどとの抱合体として水溶化安定して存在していることも多く(結合型)、これらは揮発性も大きくないという。発酵中に酵母のβリアーゼによってSH基を残して切断されて遊離型としてパッションフルーツやグレープフルーツ様と表現される香りを放つので酵母のチョイスが重要になってくる・・・?
・ゲラニオール
ゲラニオールがリッチなホップ(ブラボーやC系ホップなど)とあまり含まれないホップ(シムコーなど)を組み合わせることで、フラワリーやシトラスといったアロマの知覚が高まる可能性がある。
・脂肪酸
[2メチルブタン酸、イソ吉草酸など]
ホップ由来の脂肪酸は、モノテルペンアルコールの知覚強度を高め相乗的な役割を果たす。2メチルブタン酸はパッション系アロマ、イソ吉草酸はフルーティ系アロマ。
ブラボーやアポロは脂肪酸を多く含み、またホップをわずかに老化させることでホップ中の苦味酸が酸化的分解を受け、分岐差脂肪酸が生成される。つまり脂肪酸はホップの老化によりさらに増加する可能性もある。
・βシトロネロール
ゲラニオールが酵母の生体内変換(バイオトランスフォーム)を受けて生成される化合物。つまりゲラニオールリッチなホップを使用して抽出・生成すればよいが、βシトロネロールが生成されると相対的にゲラニオールは減少するのでドライホップなどでゲラニオールを補完するとよい。
リナロール・ゲラニオール・βシトロネロールの3化合物のシナジーでシトラス系のアロマが効果的に増強される。
まとめていてわかるけど、やっぱり化学的知識というのも最低限は持っていた方がビールに関してより理解が深くなり、また用いられる手札も増やせるている、と感じています。
チオール類の知見に関しても以下のサイトなど、少しずつ研究が進んでいるので色々と探してみてほしいです。(そして教えてほしい)
https://winescience.amebaownd.com/posts/4060521
では、今回はここまで。
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