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ビール純粋令
日本では酒税法の枠組みで「ビール」と「発泡酒」を区分していることは以前の投稿で触れました。では、そもそも「ビール」とは何をもってビールなのか?
酒税法をおさらい
酒税法上ビールと分類される基準は次の二つ
麦芽、ホップと水を原料として発酵させたもので麦芽の使用割合が100%
麦芽、ホップと水を主原料とし、麦、米、果実、コリアンダーなどの香味料を副原料として使用し、発酵させたもの。麦芽の使用割合が50%以上
麦芽の使用割合で分類が変わってきますが、基本として
麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの
となっています。
ビールの本場ドイツでは
ビールの本場といわれるドイツでは1516年4月23日、バイエルン大公ヴィルヘルム4世により制定された「ビール純粋令」が公布されました。ビール純粋令は現在でも有効な食品に関連する法律としては世界最古とされています。
当時の一文には
「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし」
というものがあります。このビール純粋令を故意に破った醸造業者には生産したすべてのビール樽没収とする罰則も設けられていました。
このビール純粋令は今でもドイツビールの精神として継承されています。
ビール純粋令が公布された背景
ビール純粋令が公布された16世紀ころのビールは主原料の 麦芽、ホップ、水 以外に香草、香辛料などが使われ、そもそもビールとは呼べない品質のものも横行していました。中には食用には適さない毒草が混じっている物もあったようです。
このようなビールの品質向上のため、決められた材料のを使ったビールのみを製造させることが目的の一つでした。
また、当時の純粋令では小麦の使用が禁止されていました。小麦はビールの原料としてスタンダードなものですし、品質上何も問題ないような気がするのですが・・・
小麦を使ったビール
ビール製造に小麦の使用を禁止した理由はなんだったのかというと、当時希少であった小麦をパンなどの原料に使うためというのがあったようです。
その裏(?)では法令に違反する小麦を使ったビール「ヴァイツェンビール」を王室の管理下にある宮廷や修道院の一部にのみ許可していました。そのため、貴族や富裕層だけが小麦のビールを独占することになりその富は莫大なものになったといわれています。
このことから「ヴァイツェンビール」は別名「貴族のビール」と呼ばれています。
ビール純粋令の精神は今に受け継がれる
1993年、ドイツ連邦政府はビール純粋令をビール酒税法の一部として改めて法制化しました。その中の一文は
「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」
とされ、現在でも多くのドイツ国内の醸造所は、ビール純粋令を指針としたビールづくりを行っているとのことです。