愛があればだいじょうぶ

結局は愛が一番。という、何かどこかのCMキャッチみたいな結論になった。
何の話やねん、というのはこれから語りますこんにちはこんばんは或いはおはようございます。

そらアレですよ。シティハンターの話ですよ。
ネトフリの実写映画。
私はこれを見るためにネトフリに入りましたよ。

前提から話をしておくと、シティハンターはあまり読んでない。
概要くらいは知ってるよ、程度。
ただ、鈴木亮平が主演ということで猛烈に観たかった。

鈴木亮平。

この映画を語る時に絶対に外せない人物である。
それは、主人公だからという話ではない。
クレイジーな(褒め言葉)役作りで定評のある彼だけど、
今回の役作りも針に糸を通すような緻密さだった。

アニメ、あるいは漫画の実写化というのは批判を受けがちだ。
小説の実写化よりハードルが高い。
それは、実写化の前に
『既に視覚情報が定着している』
に他ならないと思う。
ヒトが情報を得る手段において、8割が視覚からと言われる。
バチバチに入っていた視覚情報を凌駕する実写を作るのは、そりゃ骨が折れることだろう。
そんなハードルの高い実写において、大体2種類に分かれる。

① 漫画・アニメに寄せていく

② 写実を優先させる

現実離れした表現をアニメチックに突き抜けさせるか、現実に近づけた表現にするか。
これはどちらが正解ということはなく、作品のカラーにもよるだろうし、その時々で選択すべきだと思うのだが、逆にその選択を誤ると酷評につながるのではないかと思ったりしている。
銀魂などはよりアニメに全振りすることで成功した作品ではないかと思う。
今回のシティハンターは写実優先だったのではないだろうか。
かといって原作のテイストが薄まれば原作ファンの満足感は減る。
そこを、鈴木亮平は非常に絶妙なバランスで演じていたと思った。

冴羽獠の魅力の一つに、シリアスとギャグの高低差がある。
その高低差をストレートに演じてしまえば、どうしても嘘くさくなる。
彼はそこをとても丁寧に、ゆっくりと演じていた。
彼の演技にいつも感じることであるが、「勢いでいてまえ」という演技にならず、きちんと役とストーリーに向き合ったであろう濃厚さのある演技になっていた。

また、スタッフ陣にも似たような緻密さを感じた。
漫画の連載が始まったのは1985年。昭和60年だ。
昭和と、今の令和。
その2つのカルチャーを違和感なく混ぜ合わせ、独特な、しかし世界観がバッチリ合っている舞台を作り出していた。
街に屯する若者たちは今風だが、建物を含めたその風景はどこか80年代を感じさせる。
特に「おお…」と思ったのは、伝言板の文字だ。
あの頃『丸文字』という文字の書き方が女子学生の間で一大ブームになっていて、殆どの女子学生(一部男子学生も)が丸文字を書いていた。
伝言板の文字も丸文字風の筆跡がいくつかあって、「芸が細かい」と感動して観ていた。丸文字懐かしすぎる。

この作品が醸し出す統一した世界観はそういった細かいところまで行き届いたこだわりなのだろうと思うのだが、その根底にあるのはやはり作品への愛なのだと思う。
シティハンターが大好きで、読み込んでいて、細かな設定や物事もきちんと取り込んで消化できているというのが一番の要因なのではないかと思うのだ。
映画に限らず、やはり最後は『愛』なのだろう。
そういう意味では、このシティハンターはたくさんの愛が詰まった作品と言える。

ところで、この作品を観た目的の7~8割が鈴木亮平目当てだったのだが、彼以外で一つ収穫があった。
それは、槇村香役の 森田望智だ。
本音を吐露すると、私はシティハンターの中で槇村香が一番苦手なキャラだ。
猪突猛進で空気読まないし、良かれと思ってやったことで皆に迷惑を描ける。
本人に悪気はないから怒ることもできない。
実際にいたら友だちになりたくない。
が、森田望智の演技の熱量が凄すぎて、最終的には香に一番感情移入して観ていた。
なんて等身大の演技をするのだろう、と思った。
違う作品で見てみたい女優さんだ。

そして。
鈴木亮平は言うまでもなく素晴らしい役者だが、変態仮面からシティハンターの流れで一つ思ったことがある。
それは、
「エロくないエロを演じさせたら世界一なのではないか?」
ということだ。
エロくないエロ。
禅問答のようだな。
彼も対談ですごく気をつけていたと言っていたが、あれだけ裸になったり女性にデレデレしながらも醜穢さはもちろんのこと、泥臭さをも感じないのはすごいなと思う。
そして彼の銃さばき。撃つことだけが銃さばきでないというのを存分に知らしめてくれるシーンがたくさん出てくる。
しつこく言い続けるが、やはりすごい役者なのである。

私は割と妄想癖が強く、どんな実写でも脳内補完できるタチではあるのだが、ここまで作り込まれた実写を観るとやはりテンションが上がる。
ネトフリ会員は是非観てほしい。
あと、こっそり出ている神谷明さんも、割とわかりやすく出てくれているのでそれも楽しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?