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【月の欠損について考える】欠けているからこそ美しい。

月の欠損とは、マドモアゼル愛先生が提唱されている説です。

月の欠損を知って救われた方も多いと思いますが、逆に「欠損」という言葉にとらわれてしまう人も多いのではと、個人的には考えています。

「欠損」という言葉の意味を考えると、欠けているダメなことみたいに感じてしまうこともあるでしょう。

正直なところを申し上げますと、最初に月の欠損を知った時に、私は違和感を感じて受け入れられませんでした。
しかし、占星術を学んでいくなかで、特にネットの情報では「月の欠損」はかなりの人が肯定していて、私も納得しなければならないと自分なりに落とし込んでやっと最近掴んできたように思います。

しかし、心理占星術を学んでいくなかで、月星座はかなり重要な天体です。
良い、悪いを人間の判断基準でジャッチしない心理占星術では、どの天体であっても人の心理に重要な役割があると考えます。

例えば、冥王星と月のスクエアなど、一般的にハードアスペクトと言われることも、その人の心の成長に必要な緊張として捉えていきます。

月の欠損理論を否定する訳ではありません。
そういった解釈もよくわかります。

しかし、今回は「月は欠損である」というインパクトの強い言葉から少し離れて、もっと自分の月星座を好きになれるような解釈について考えていきたいと思います。

月星座の解釈

まず、月はよく母親に例えられますが、年齢域を考えると母親の影響を受けやすい子供とも捉えられます。

また、月は感情と結びつけられますが、感情は過去の体験の積み重ねから発生するものです。

例えば、初めてやるスポーツで、とても楽しく気持ちよく出来たなら、そのスポーツが「好き」になるでしょうし、
逆に上手く出来ずにケガをして痛い思いをしたなら、そのスポーツが「嫌い」になったり、もしくは新しいスポーツを始めること自体が「嫌なこと」と感じこともあるでしょう。

人は体験したことないことを心から感じることはできないのです。

太陽と月は対となる天体ですが、
その違いは輝き方です。

太陽は自ら輝く天体で、
月は太陽の光を反射して輝きます。

言い換えると、月は「太陽の過去の光を使って輝く」と言えるでしょう。
なので、月や蟹座は記憶を司り、無意識で過去の体験を繰り返します。

特に蟹座は家族を表すサインでもあるので、月は幼少期の環境によって影響を受けながら感情のパターンを形成していきます。

例えば、外向的か内向的か、という性格も
大勢でいる時に安心したのか
一人でいる時に安心したのか
という過去の経験を元に形成されていくのではないかと思います。

また、占星術で主に使う太陽以外のすべての天体が、自ら光るのではなく、
月と同じように太陽の光を反射して光っています。

ノエルティル先生の本を翻訳されている
石塚隆一先生が
「月はこれらの惑星の親玉のような存在」
とおっしゃっていたのがすごく分かりやすくて腹落ちしたのですが、

よくトランジットなどで、
月がトリガーとなることがあるのは、
すべての惑星の記憶や情報をつなぐ役割が
月にあるからなのかもしれません。

月星座と母親の存在

月を母親と子供という部分で考えると、
子供には、母親に愛されたい、認められたい、受け入れてほしいという欲求がありますよね。

それは、母親がいなくなったら生きていけない小さな子供にとって、当たり前の本能的感情です。

なので、母親の感情のパターンに対して、子供なりに頑張って対応してきたことが月星座に反映されるのではないでしょうか。

そして、月の欠損というのは、おそらくこの時に形成されたままの状態の月のことをいうのではないでしょうか?

だから、満たそうと思っても満たせない。

例えば、月射手座の私は
かなり放任主義で育ったのですが
そんな環境で孤独や寂しさを感じるよりも、新しいことを知ったり、自由に楽しんでいたかったし、
母親に多少問題があっても大らかでいたかった。
そして、母親の問題を理解したかったのです。

それは、自分でそうしたいんだと思い込んでいたけれど、幼いながらに頑張って考えた結果、そうすることで母親から受け入れてもられると思っていたのでしょう。

しかし、これを欠損理論を用いて、月射手座には「理解力がない」といってしまうのは、ちょっと乱暴なように感じます。

例えば月乙女座なら、幼いながらに何かの役に立ったらお母さんから受け入れてもらえると思ったのかもしれないし、
月牡羊座なら、明るく元気で一番でいたらお母さんが笑顔になってくれると思ったのかもしれません。

そんなふうに月星座を捉えてみると、とっても健気で可愛らしいと思いませんか?

でも、これを"無意識"でずっとやっていると
どんどん苦しくなるのがわかります。

だってもう目の前には当時のお母さんはいないですし、それに大人になれば、もうお母さんに愛されて守られなくても、自分の力で生きていくことができるからです。

月星座が記憶している幼い頃からのパターンを無意識で頑張り続けることは、お母さんのために生き続けることに似てると思います。

誰かのための人生ではなく、
自分のための人生を生きるために、
愛先生は月を「欠損」と呼んだのかもしれません。

しかし、やはりここには危うさもあって
例えば、親を毒親としていくら批判しても、親に愛されたかった気持ちは癒されないと思うんです。

お母さんのために頑張ってきた月を欠損として避けても、自分の本来の月を愛したい気持ちは消えてなくならないんですね。

じゃあどうすればいいの?
ってことですが、心理的なアプローチで考えたら
「自分を自分で癒すこと」
「自分で自分を受け入れ愛すること」
が、
月星座において非常に重要になると思います。

月をインナーチャイルドに例えるなら、
それを除け者にするのではなく、
過去の記憶に触れ、パターンに気づき、
大人の自分が傷ついた子供の自分を抱きしめてあげることが大切です。

その際に特に重要となるのが、太陽です。
太陽のエネルギーをホロスコープ全体に当ててあげることです。

愛先生は、月の欠損の解決策として月光反転法を用いていますが、その点においても誤解が生じやすいポイントだと思います。

例えば、月が射手座なら、本来のあなたは180度の星座の双子座ですよっていうやつですね。
確かに180度の星座は2つで1つなので、バランスが崩れているときは反対側を意識するのことも大切です。

しかし、天文学的に見たら、満月以外のときは月光の反転は対極点になりません。
どちらかというと、太陽の180度の星座となるでしょう。

じゃあ、太陽の180度の星座が本来の自分なのか、というとそれも違います。
確かに太陽の視点から見れば、地球は常に180度の場所にいます。

しかし、もう一度、ホロスコープの原点に帰るとわかるはずです。
ホロスコープは、地球から見た景色ですよね。

つまり、太陽の光が当たっているのは、
ホロスコープ全体なのです。

ホロスコープのどこか特定の場所に本来の自分がいると考えるのではなく、
太陽のエネルギーをホロスコープ全体に注ぐことが大切なのです。

月の欠損と言える状態は、
月の欲求に振り回されいる状態ですが、
だからと言って月の欲求を無視しても上手くいきません。

それはまるで、
ワガママな子供の言いなりになるか、
言い分を無視するか、
この2択かのような極端さ感じます。

私は、日頃から心理ワークを実践しているのですが、そのなかで自分の問題をパーツとしてとらえる方法があります。

例えば、人と関わることを避けるパーツ。
このパーツは、もう二度と対人関係で傷つかないように、私を守ってくれているのです。
パーツは必ず「記憶」を持っています。
このパーツなら、対人関係で傷ついた記憶ですね。

その記憶(とくに母親との記憶)に振り回されている状態が、欠損と言われる状態。
しかし、だからといってその記憶や思い出を無視していても、問題が解決することはありません。

そのときに感じた気持ちや言い分を聞いてあげて、自分で迎えにいくことで、問題は緩んでいきます。

私はずっと、弱い自分(問題を起こすパーツ)を追い出すことが、強くなることだと思っていました。

しかし、自分の弱さを追い出そうとすればするほど苦しくなることに気づきました。

弱さを受け入れたとき、人は本当に強くなれるんだと思います。

確かに月は満ち欠けをします。
それは不安定に感じるかもしれません。
でも、月がずっと満月だったら美しいでしょうか?

月は、満ち欠けするからこそ美しいのです。

月星座は、ホロスコープに欠かせない要素です。
月の欠損には「出来ないことを頑張らない」っていうメッセージがあるように感じますが、特に母親に関する思い出は、そう簡単に手放せるものではありません。

月星座を通して母親と繋がっているのです。

母親との思い出は、
時に良い影響も悪い影響も与えるでしょう。
私は、母親との思い出が「安心感」ではなく
「不安」や「孤独」と結びついています。

でも、別に今はそれでもいいと思っています。

不安を手放し、
完璧になることが全てではないからです。
不完全な自分がいたっていいじゃない。

欠けたままでもいい。

そう思えたとき、初めて月は癒され、本来の輝きを取り戻すのではないかと思います。

人は、月のために生きるのでもなく、
月をないがしろにするのでもなく、
満ち欠けのある月と共に生きるのです。

望月ことり
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