タイムカプセル(1分小説)
光男と妙子は、結婚して3年経つ。
もうそろそろ子供が欲しいがなかなかできない。
お互いの性格も分かってきて空気のような関係だ。
妙子が言った。
「ねえ。お互いの50年後の結婚記念日に向けて手紙を書いてみない?」
「面白そうだな。やってみるか。」
光男は乗り気だ。
お互いに手紙を書いて、タイムカプセルに入れて、家の庭に埋めた。
それから、順風満帆に50年が過ぎた。
二人は庭に埋めたタイムカプセルを掘り出した。
まずは、妙子の手紙を見た。
光男さんへ
50年後の結婚記念日おめでとう。
でも、私は体が弱いから、先に死んでるでしょう。
あなたの大好物の栗ご飯も作ってあげられないと思います。
どうか、私の分まで長生きしてくださいね。
光男は大笑いした。
「お前、死んだことになってるぞ。」
「あら、やだ。私、そんな事を書いたかしら。」
次に、光男の手紙を見た。
妙子さんへ
50年後も素敵な君へ
僕は、君と一緒になれて幸せでした。
癌とかになって、先に死んでるかもしれないけど、
どうか、僕の分まで、生きて下さい。
妙子も大笑いした。
「あなたも死んだことになってるわよ。」
光男も照れ笑いをしている。
「でも、お互いに元気に生きててよかったな。」
光男はにこにこしながら言った。
「本当に笑い話でよかったですね。これからも一緒に仲良く暮らしていきましょうね。」
妙子は頷きながら言った。
その日の晩は、妙子は栗ご飯を作って、二人で楽しく結婚記念日を祝った。