2024年12月の記事一覧
【小説】【短編小説】早々の葬送
早々「君とは絶縁するよ、元気で。」
あけおめも無しか。
ただひとこと。
しかもラインて。
新年早々一発目の連絡がこれか、日付が変わった瞬間に。
そういうとこだよ、ヘタレが。
どうせなら年末までに済ませろよ、おい。
「今年の汚れ、今年のうちに」ってセリフ知らねーのか?
いや、アタシは汚れか?
大掃除なんて年末の行事もあるくらいで、厄介事は年内に済ましとくもんなんだよ!
サンタクロースへの手紙
600文字
~お願いします~
粉雪が降りつもるように
想いが溶けないように
あとからあとから
想いが降りつもるように
粉雪が大空をおおう
ようやくクリスマスの雰囲気
街角に色とりどりの
イルミネーション
君の住む街は寒いですか
サンタクロースにお願いします
どうかよろしくお願いいたします
赤ん坊が安心して
おもいっきり泣けていますか
子供たちは寒くてさみしくて
お腹すかせて泣いてませんか
【短編】その鳥籠から擦り抜けるワルツ(後編)
最後の日を迎えるとしたら、病院のベッドの上か、住み慣れた我が家の布団の中と想像していた。いずれの場合も医師や家族、誰かしらに看取られて。まさかこんな辺鄙な場所で、人知れずそれを待つことになろうとは、思いもしなかった。
『呪い』。
あの日と同じ、否、あの日より強力と思しきそれが、私を此処に閉じ込めている。
諸々試しはした。出口からは出られない。ならば木塀の上から、とよじ登ってみたが駄目だった。
【短編】その鳥籠から擦り抜けるワルツ(中編)
振り返ると、ひとつだけ。
若様との数少ない想い出の中、ひとつだけその距離を近くした出来事があった。
確か、当時私は小学生になったばかり。そこから計算して二つ上の若様は九歳かそこら。その頃はまだ若様も足繁く我々分家の里に通い、私やウツシちゃんたちとの触れ合いを多く持っていた。
その日も里を訪れた若様と私たちはかくれんぼをして遊んだ。
何せ、田舎だ。集落を離れ、少し足を伸ばせば、そこいらに朽ちかけ
【短編】その鳥籠から擦り抜けるワルツ(前編)
閏年の閏日に生まれたから、こんなに小さな身体なのか。
幼い頃は、本気でそう疑っていた。
四年に一度しか誕生日が巡ってこない私は、表向き一年ごと歳をとりながら、その実人より成長が遅い。人並みの発育を得るには、単純計算四倍の時間を要するが故に、同年代の子と比して身長が低く、顔立ちにも幼さが残るのでは。そう推測した。同年代どころかひとつふたつ下の子たちよりも歳下に間違えられるようになってからは、その仮