漫画についてのお話(上)
少し前に、偉大な漫画家が亡くなったというニュースがあった。
御多分に漏れず私の周囲でもショックを受ける人が多かったが、正直なところ私はあまり思い入れがない。
私の年齢を知っている人は分かるかも知れないが、いわゆるジャンプ黄金期とは少し世代がずれているのだ。
とはいえ、私と同世代でもジャンプ黄金期の漫画のファンは多い。どれもこれも有名な大ヒット作だから昔から比較的読む(もしくは映像化されたものを見る)手段が豊富だったし、何よりどれも面白い(らしい)のだからしょうがない。
しかし、私はその大半を知らないし、ほとんど読んだことがない。
じゃあ大半の男子が少年ジャンプを読んでいそうな中高生の頃私は何をしていたのかというと、ひたすらソニックとPSOとその公式BBSへの書き込みに明け暮れていたのだから色んな意味でどうしようもないのである。
とはいえ、そういう場所で他者と交流していると、どうしても漫画の話題、ネタになることがある。ジャンプ黄金期の漫画であれば尚更である。
そこで疎外感を覚えた私は、結果として「あの頃の漫画」全体があまり好きではなくなってしまった。
ネットで稀にある、「コンテンツそのものじゃなくて、信者がうざいから嫌いになる」というパターンに近い。
その「あの頃の漫画」の代表がドラゴンボールなのは、言うまでもない。
「日本人男性ならドラゴンボールは読んでて当然、知ってて当然」という空気が嫌いだった。今でも嫌いである。でも今後もコンテンツ展開は続くそうだから、きっと今後もそういう空気は日本を支配し続けるのだろう。
もういっそ一般教養として義務教育で子供たちに原作全巻読ませた方がいいんじゃなかろうか、とまでちょっと思っている。
私はドラゴンボールを知らないが故にいじめを受けた訳ではないが、そんな理由でいじめに遭ったり寂しい思いをする子供が出る可能性を考えたら無駄にはならないのではないか。
いじめる側だって義務で読ませられるとなったら途端に(いくら面白かろうが)面倒になるに違いない。いくら面白いものでも義務化されると辛くなる、というのはよくある話である。ソシャゲのログインボーナスとデイリー消化に追われている現代オタクを見れば明らかだろう。
まぁ現実的に絶対実現不可能な話はともかく。
そのドラゴンボール、かなり後(20代後半)になって序盤だけ読む機会があった。
まだ有名なバトル展開に突入する前、本当にドラゴンボールを7つ集めて願いを叶える、っていう話の段階なのに(だからこそ?)、めちゃくちゃテンポが良くて読みやすくて面白いのだ。
結局のところ、ドラゴンボールが面白すぎるのが悪いのだ。面白すぎるのも罪なのだな、と思った。
それでも結局序盤しか読まなかったので、ベジータだのフリーザだのピッコロだのの区別は未だにつかないし、巷で語られる名シーン・名台詞もほとんど知らない。みんながよく話題にするのはこの辺なので、結局みんなが何を言っているのかは今でもよく分からないままである。
今なら電子書籍や漫画サイト・アプリもあるのだから買って読めば解決する話なのだが、もうここまでくると逆に意地を張ってしまうものだ。たぶん私は、最後までドラゴンボールという漫画をよく分からないまま死ぬのだろう。「人生半分損してる」とか言われそうだが、私の人生は大体損しかしていないので今更である。
…漫画についてエッセイ的に書いてみよう、と思って書き出したはいいものの、これたぶんこのまま書き続けたら収拾がつかないぞ、ということで一旦区切ることにしました。
という訳で次回に続きます。後半の下書きも終わっているので数日でアップできると思います!