生まれて初めて買ったミスドはローポップ?
30年ほど前のことです。
当時、住んでいた滋賀県の田舎町にも、バブルが訪れ、駅前にはマンションが立ち並び始めました。高層階はマンション、下はショッピングセンターというビルが駅前にもでき、一階にはミスタードーナツが入っていました。
そのミスタードーナツができるまで、田舎町にはミスタードーナツのミの字もなく、ミスタードーナツができたからといってすぐ買いに行くようなミーハーな家庭でもなかったので、私が初めて買って帰るまでは誰も食べたことがありませんでした。
ある日、なにかの用事で駅前に行った私は、ミスタードーナツを初めて買ってみようという気になりました。ミスタードーナツを買って帰ってみんなで食べたい。自分のバイト代があった頃なので、高校生か短大生のとだと思います。
そのお店は自分でトレーに乗せてレジに持っていくのではなく、ケーキ屋さんのようにガラスケースに入ったものを、商品名を言って店員さんに入れてもらうお店でした。
ガラスケースの前に立つと、緊張してしまい、種類もたくさんあったので、私はどれがいいか選べなくなってしまいました。5人家族だったので5個購入するとかなりの金額になってしまいます。悩んだ挙句、小さい丸いドーナツがいくつか入ったものにすることにしました。これなら、みんなでわけて食べられる。
「ローポップください」私は言いました。
しかし、袋に入れてもらっているあいだに、気づいちゃったんです。
「ローポップ」じゃなくて「D-ポップ」……
カタカナの「ろ」に見えていたのは、よくよく見ると、アルファベットの「D」(ディー)で、のばし棒だと思ったのはハイフンだったのです。
昔から視力が悪く、しかもガラス越しで、初めてのミスタードーナツで緊張もしていて、ディーポップなんて知らんし。気づいたときの恥ずかしさったら。
しかし、店員さん、何も言わず、入れてくれました。感謝です。