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クリサリス《魔導を継ぐもの》 第3話

こんばんはです。
今日は久しぶりに続きものの3話をアップします。
有料になりますが、よろしくおねがいします。


過去:1話 https://note.com/hooryuu/n/na32b790d947f
   2話 https://note.com/hooryuu/n/n1ba237ea960a


【女王の巻物 《運命を紡いだ魔女》】

 現英国王室王女・ヴィクトリア3世。継がれる前の名前はシャルロッテ・M(マリー)・スペクター。彼女の表の顔は今では数少なくなった貴族家系の後継者の一人として、現在は女王として象徴的であり国民から絶大的信頼されている女性である。
 が、実体は欧州全体を束ねている魔術師団(マジェステ・サーベイランス)の7族の一員にあたる。この集団は、普段表向きの立場が代表者それぞれ身分もバラバラだが、とある儀式の時には7族の代表が集まり、この時期や今後の魔術師団としての活動指針などの会合がある。
 特に今回の会合は、一番特別な儀式である「マーリン」の後継者の発表を『触《しょく》』の日に行う為に、色々な調整や当日の段取りを決めるのが主題となっていた。
 同時に、新しい「マーリン」の下で発効予定にしている「マギカ・システ」のシステム整備を、建設完了した月と火星基地と魔法塔で発動試験及び月コミュニティのみであるが運用開始するというアナウンスの内容やシナリオを決めるのも今回の会合で予定されていた。
 しかし、会合冒頭にて主催者のヴィクトリア3世から原因不明だが現マーリンが行方不明になったという事を冷静な面持ちで出席者に伝えた。

 「今回の会合にて、我が国の宝である魔法塔の最高管理者である現マーリンが「触」の日の1週間前に謎の失踪をしたとの魔法塔総副司祭から連絡を受けました。
 284年ぶりの「触」の日であり同時にマーリンの後継者発表という、英国にとって非常に重要な式典を晴れ晴れしく皆様と迎えようと私自身も心待ちにしておりました。
 しかし、その当事者であるマーリンはどこぞかに消えたのか、それとも誘拐されたのかも未だに不明との部下からの報告でもありました。まぁ、あのマーリンを誘拐できる凄腕がこの地球上にはいないと思うけど。
 それでも『蝕』の式典は辞めるわけにはいきません。そこで、皆様には最悪マーリン不在であっても恙無く《つつがなく》式典を済ませるようにご協力を願いたいのです。同時に、マーリンを何とか式典まで間に合わせるよう皆様の力を貸して戴きたいと思います。」

 と言った後、ヴィクトリア3世は深々と頭を下げた。

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