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蓬莱の妃 1.5章 《火の章へ》 §2



今回のお詫び


此処にきて戴きありがとうございます。
私、作品を掲載するにあたり出来るだけ一度にあまり多量な文字数をあげないようにしておりますが、区切り上どうしても多くなる場合も有ります。

で、今回、一応目処している1万字を越えてしまいました。それでも宜しければご購読のほどよろしくお願い致します。



登場人物


 モーガン・J・ウェイクフィールド(Morgan Joshua Wakefield):UPRA(アジア地域共同救助隊、正式名称 United Partnership Resume of Azia)という元々アメリカ共和国と日本共和国の軍隊から派生した救援組織所属。階級は特殊工作部隊一佐兼アジア太平洋地域軍第3部隊責任者の一人。
亞人と黒人(アフリカン)のハーフさんという事で能力者であり『仲介者』。趣味は神社巡りと温泉巡り(露天風呂)。家族構成は妻ミルサ(亞人とイタリア人とのハーフさん)と3人の子持ち。
性格は基本温厚で冷静な振る舞いをする模範的な上官であり人間だが、とある事に関しては特定の人間と度々バチる事もある。

 アイザック・M・ウェイクフィールド(Isaac Metis Wakefield):UPRA所属。階級は特殊工作部隊三階生。先述したモーガンの長男にあたる。生まれは横浜市山手地域で現在も居住中だが、来春日本人女性と結婚するとの事で実家を離れる。アイザックも能力者で『仲介者』。
彼は能力者の中でもかなり稀な能力を所持しており各方面から度々お呼びがかかっている。
性格は基本お調子者だが仕事に関しては極めて冷静かつ優秀な判断が出来る人間である。
因みに父親からの遺伝なのかは不明だが専ら【巨乳好き過ぎ】でモデルの宮内輝夜のファンクラブに入るぐらいの熱心な信者の一人。そのファンクラブの会長である手嶋晴と親父のモーガンは顔を合わせる度に理由不明(理由が有りすぎて)な火花を散らしているのが一番の頭痛の種になっているもののわざと目を瞑っている。

 久住 真由佳(くずみ まゆか):表向きには宮内本家の副メイド長でもあり、黒田光流夫人の黒田紗夜子の会社の社外秘書をしている。
元々は出身地でもある奈良の丹波家を中心にしている隠密部隊「鴉」のメンバーの一員で富士吉田の宮内家には当初『派遣』という形で入ったものの、彼女が『当主』と呼んでいる荒太の為人に感銘し正式に宮内家のサーバントとして仕えるようになった。
純粋の人間ながらも『仲介者』として日本国内では指折りの実力を持っている。性格は普段のメイドや秘書という仕事が適任というぐらいの冷静さともてなし力を備わっている女性だが、富士宮にて巫女をしている妹の事を常に心配し溺愛している。
普段から和服しか着ている姿しか見た事ないのでお淑やかと思われているが術系より格闘系中心で戦う女性。



§2 9月川華にて、ウェイクフィールド親子


《埼玉県川華市の景観保護がかかっている地域にある『とある寺院跡になってしまった』所に、UPRJ所属と思われる軍人二人が黙々と現場検証をしていた。》


 遠行は帝から絶望的と思われる特命を請けた1ヶ月後の9月下旬に、奈良の我真の本拠地である五瀬市に入った。予定より若干遅れたもののこれから2箇所の本拠地を攻め落とそうとしていた。

 その時の遠行は知る由もなかったのだが。帝はこの作戦と同時期にこの五瀬市より東に500キロ離れている埼玉県川華市の景観保護特別地域内に在る総塔院という約700年前に建てられたとされる寺院の『破壊工作』を命じて、そこに有った国宝である天空僧正の本尊も焼失させた。
 その無惨に焼かれてしまった場所にあまり似つかわしくないUPRAの軍服を着ていた二人の黒人が『何かしらの調査』で敷地内に入って現場検証をしており、二人は作業に黙々とたまに愚痴に近いようなセリフを言い合っていた。

 「よ、わが親愛なる息子であるアイク君。俺は何故此処で先ほどから落ち葉拾いみたいな事をしているのかを教えてくれるかな。
 確かに俺はよくパワースポットや歴史好きが唆るような街角を探訪するのが好きなのは知っているよな。だから今日はお前がこの日本有数とされるこの川華のこの地域の案内してやるからという事で街の散策で此処に来た筈だが、俺の気の所為か。」

 「親父、全く気の所為では無い。此処に来るまでトラフィックを使って特急料金とプレミアシートフィーというゴージャスな電車旅だったよな。此処に来てからもちゃんと此処までのんびり散策もしただろ。先ほどまでだったけどな。」

 「・・・アイク、確かに嘘は付いていない。此処まで快適な座席でのんびり車窓を眺めながらの旅は本当に良いものだなと改めて感じてしまった。
 しかしながら、君は、

『僕は此処で今日ボランティア作業と調査をお願いされているから、良ければ一応アーマースーツも持参して欲しい』

と言ったので君の言う通りスーツも持ってきたらいつの間にか仕事がメインになっている。

 はっきり言っておくが俺は今日は非番だ。お休みの日だ。常日頃陰ながら悪しき者から守り市井の方々を救出をしていると言う我々にとっても休みは必要だ。
 残念ながら俺は休みにわざわざ別地でアーマースーツを着て落ち葉拾いをする趣味は持ちあわせてはいない。その事はお前が俺の本当の息子であれば知っているよな?」

 するとアイクことアイザック・M・ウェイクフィールドは作業の手を止めて親父と呼んでいる人間の方に顔を近づけながら若干挑発的に台詞を言い始めた。

 「ああ、僕は貴方の正真正銘の息子ですから貴方がこういう趣味は持っていない事ぐらいは知っておりますとも。

 でも親父、ぃゃモーガン・J・ウェイクフィールド一佐殿にお伺いしたいのですけど、貴方はたまに富士吉田でこれと同じような事をなされていると私の情報網に入っておりますがどういう事でしょうか?

 今やっている貴方が仰っている『落ち葉拾い』も大差無いかと思われますので、富士吉田での経験が役立つのかなと思いまして今回誘った訳ですが・・・やはりとあるモノが無ければ気が乗らないのでしょうか?」

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物書きの風吹しづるが書いているファンタジー小説『蓬莱の妃』シリーズの次章にあたる【火の章】へ繋がる話になります。 火の章においてのキーパー…

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