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蓬莱の妃 1章2節 《水の章》 §9



前振り


いつも来て戴きありがとうございます。

今日はあっさりな前振りになります。というのは今日はこれから元々お世話になっていた会社や人にお会いするので時間が取れないという単に自分の勝手な事由からという事になります。(これを実際に書いているのはアップする前日になるので)

前セクション(§8)はこちらまで

あと一括でご覧になりたい方はこちらまで。



登場人物


 宮内 咲夜(みやうち さくや):宮内家の次女。帝都東京大学出身で都内私立大学にて薬学研究の分野で大学院生をしながら個人企業の実質的代表者及び魔法使い研究SNSカンパニー『ウィッチ ド ブリュー』代表者。容貌は姉とは双子ながらも正反対の可愛らしさのある女性だが、言葉遣いに関して(特に姉に対して)は激辛でその他の人に対しては本人から壁を作っている節もある。彼女も姉と同様に能力者であり『仲介者』として活動もする事もある。

 黒田 光流(くろだ みつる):姉妹の名付け親であり二人の世話人。二人の世話以外にも地元の観光協会認定のトレッキングコンシェルジュ。父親の影響で発掘調査や古文書解読も。一応能力者であるが未開発。

 春原 芽(すのはら めい):輝夜のモデルとして若干後輩であり友人。趣味はソロキャン、スピ巡り、遺跡巡り。彼女も黒田から影響され乗り鉄と言う趣味に目醒めた。公には隠しているが元々密教系の「能力者」でもあり、日々の鍛錬の一連という事で時折輝夜とフィジカルトレーニングをする事も有る。術式の能力をさることながら格闘センスは能力者としてトップクラスとの事(輝夜談)。後日、輝夜の「付き人兼世話役」の一人として過ごすことになる。



§9 いのちは繋がった【黒田語り】


《旧小山村の中心地と思われる集落に到着した3人は『シールド』を張って隠れ住んでいる人間の元に向かって行った。
 だが到着と同時に昨日輝夜と黒田が通ったトンネル付近から2体の襲撃者が近づいていた。》


 午後3時を廻った頃、私達はゲートがある旧丹母村役場交差点から車で10分足らずで目的地の旧小山村内で隠れている場所の近くに到着しました。

 無論周りの建物の大半は崩れているか廃墟になって居ますが、その割には走ってきた道路の路盤は定期的に整備されているのかまでは推察できませんが意外と綺麗でした。

 私たちは乗り物から降り、咲夜お嬢様と春原さんは乗って来た車やトライクルに『スティルス』をかけ、その場所から急いで離れました。
 私達は周りの状況のギャップに不思議な感じを持ちながらも肝心の隠れている場所の探索を開始しました。

 しかしながら、咲夜お嬢様と春原さんはシールドを張って隠れている救助対象者たちのいる場所を難なくわかったみたいです。
 と言うより向こうから咲夜お嬢様と春原さんに『アクセス』して来たのでこれから案内されようとしていました。

 が、この場所から南の方であるトンネル付近から人間にしては早い速度で向かってきている物体が2体いるとの事を咲夜お嬢様が言ってきました。

 「黒田さん、残念ながらのんびり救助できる状況ではないかも知れません。
 向かってきているのが私に昨日嫌がらせ行為をしてきた本人らしき者と人間かは不明な存在が高速移動してきて居ます。
 私はそれらの対応をここで行いますので、黒田さんは春原さんと一緒にこの役所跡の裏手にある廃屋に向かって下さい。よろしくお願い致します。」

 咲夜お嬢様はこう私に言ってメインストリートとなっている道の真ん中に仁王立ちをし、これから襲ってくると思われる人間を対峙するべく来ると思われる方向に体を向けて待っていました。

 「わかりました。お嬢様はあまり無理をしないように。輝夜お嬢様に心配をかけることになリますので。」

 「私も無理はしたくありませんけど、果たして向こうがこちらの希望に応えてくれるとは考えられないので無理かと思います。
 それに私個人の考えですが、昨日のお返しをしたいとも思っておりますので無理かと思います。」

 と言って咲夜お嬢様は私でもわかるぐらいにエネルギーレベルを急激に上げて臨戦体制を整えつつあった。
 私と春原さんはその廃屋に急いで向かって行きました。

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5,341字
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