蓬莱の妃 1章1節 《水の章》 §6
登場人物
宮内 咲夜(みやうち さくや):宮内家の次女。帝都東京大学出身で都内私立大学にて薬学研究の分野で大学院生をしながら個人企業の実質的代表者及び魔法使い研究SNSカンパニー『ウィッチ ド ブリュー』代表者。容貌は姉とは双子ながらも正反対の可愛らしさのある女性だが、言葉遣いに関して(特に姉に対して)は激辛でその他の人に対しては本人から壁を作っている節もある。彼女も姉と同様に能力者であり『仲介者』として活動もする事もある。
佃 義仁(つくだ よしひと):元『仲介者』、現在はフリーランスの能力者稼業をしている。姉妹とは2年前の事件で(当時は国交省の仲介者)首謀者の一人として敵対をしていたが、その事件を機に退職し元仲介者として活動し始めて定期的に姉妹と一緒に仕事をする様になった。
免田:上川浄水場の責任者でもあり埼玉県水道局の監督官でもある。裏との繋がりは不明。
榊原 由希子(さかきばら ゆきこ):現職の仲介者、という話で上川浄水場にいるが真偽は不明。裏との繋がりで在籍をしており今回の事件にも大きく関わっていると思われる。部下に自分専用の運転手、取り巻き(彼女は『狗』と呼んでいる能力者)が4人いる。性格は非常に傲慢で粗雑で倫理観皆無だが、彼女が『あの方』と呼んでいる人に関しては絶対なる信仰を持っている。佃からは『ゲス女』と呼ばれている。
§6 ゲス女からの細やかなる歓迎【咲夜語り】
《咲夜と佃は埼玉県の取水所に現地調査の一箇所目に入ったものの、思わぬ『障害』と佃の呑み仲間である前沢に出会った事によって、咲夜・佃とも互いに『何かしら隠してある』という事が判ったので、もう一件の調査場所に向かっていった。
だが、其処には咲夜・佃にとって因縁の相手が待っていた。》
現在16時25分過ぎ、何とか公務員の業務時間内に上川浄水場に到着する事が出来ました。
周りを見ると田畑ぐらいしかなく、ポツンと如何にも役所的な建物と敷地が有ります。
入る為に正門と思われた場所でしっかりと入る人間のID確認と予約確認がなされました。
何しろ今でもこの地域の飲料水を管理するため必要不可欠な施設ですから厳重な管理されるのは当然かと思います。
確認作業が終わり無事に敷地内の駐車場に入ることができ、車外に私が出ようとした時先程の現場の時より私達に『反応』をする人が居ました。
予想はして居ましたけど先程の改築現場より何かしらな方々がどうやら多いですね。
恐らく理由の一つとしてここにそれらを束ねていると思われる『強め』の能力者が居るせいなのかとも思われます。
その方と思われる『念』が先程の場所にも残されて居たので、どうやら先程の現場に居た仲介者たちとも繋がっている感じも有ります。
一応これらを考慮して今回も私だけ建物内に行こうと思って佃さんに指示しました。
「佃さん、どうも先程の現場より能力者がいると思われますので今回も私だけ建物内に入ります。
佃さんはこの車付近から先程の同じ様に『リサーチ』されても良いし、近くにある『神代遺跡公園』に行き、相手へのフェイクリサーチをかけられてもよろしいかと思います。」
「それについては特段問題ないと言っておく。それに今言った『神代遺跡公園』にも何かしらやっている反応がある。一体何をしているかまでは分からないが、今から公園入って回る時間が有るかな・・・と。
確か公園が17時までしか開いて居ないと思うから今から行っても入って調べる時間は無い。
広範囲にはなるが此処から『リサーチ』をしておく。」
確かに此処から神代遺跡公園まで歩きで20分以上かかるかと思われます。ならば此処から『リサーチ』で遺跡公園内を探る方が得策です。
幸いなことにこの辺には然程遮蔽物が無いので『リサーチ』する範囲を効率よく大きくする事ができます。
私は浄水場の閉場まであと25分ぐらいになったという事を時計で確認したので浄水場入り口まで行こうとした時、佃さんが言ってきました。
「それと時間が無いので手っ取り早く言うが、お嬢さんが感じた『強め』の能力者は俺の知り合いだ。
俺はこの女の事を『ゲス女』と呼んでいる。まだお嬢さんを襲うまでの事はしないとは思うが念のため気をつけてくれ。
正直俺個人的には関わり持ちたくない女だ。」
「ご忠告ありがとうございます。何か有りましたらすぐに連絡します。最悪な状態になりましたら佃さんは車に乗って逃げてください。
私の方は恐らく大丈夫です。一応これでも私も仲介者の端くれですから。」
と私は佃さんに言って、時間も迫って居たのでそそくさと浄水場への受付に向かいました。
此処でも受付はAIで、来客者として認識できたのですんなり建物内に入ることができました。
建物内受付では60歳ぐらいの男性警備員が事務所まで案内をして戴き、事務所入り口の両開き扉をノックして入れました。
一般の見学や今回の様な問い合わせの場合は先ず一般入り口から入ってからオープンカウンター前の待合室に通されるとの事らしいのですが、今回は業務時間ギリギリになりそうだったので直接事務室内で対応して戴きました。
ここから先は
蓬莱の妃 1章1節《水の章》
富士吉田生まれ育ちの美人姉妹で能力者である宮内輝夜・咲夜姉妹が活躍するファンタジー小説の本編の1章目にあたる作品になります。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?