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結婚式当日編2

写真タイム


披露宴会場の部屋から退出してすぐ、その中で親族の集合写真を撮ることになっており、ゲストも一旦その部屋から出て、椅子の配置などを変えてセッティングしなおしてもらう。
その隙間時間で、ゲストたちと写真タイムというのが設けられる。
やっとここで「〇〇~!ひさしぶり~!」という会話が友人とできる。
なんとなく各グループのみんなが順を待ってくれて、なんとなく弟が全体のカメラマンをしてくれて、ほんの少しずつ会話をしながら、狭いスペースなので近距離公開撮影のようになりながら、みんなの顔をじっと見る。
パーティー用の服装と髪型をしてくれていて、みんなそれぞれの個性があり、それがとっても似合っていて、それを見るのも好きなんだよな~としみじみした。

そう思っていると、新郎の友人たちと写真を撮るターンとなる。彼らは夫の大学時代の友人のため、ほぼ夫と同い年なのだが、みんな同じ服装である。正確には「同じような服装」なのだが、ブラック系のスーツにシンプルな白系ネクタイというところまで同じで、かつみんな眼鏡をかけている。
ウェイウェイした友人たちでは決してなく、だいぶ落ち着いた雰囲気を放っているので、つられて私もなんだか突然すましたような微笑み方になってしまう。夫もそもそも大声をあげることや喜怒哀楽を表情豊かに表現するタイプではないので、なんだか友人って似たような空気感を持った人たちの選ばれし集団なんだなあと、自分の友人たちの様子も見ながら実感する。大人になるにつれ、自分のまわりには、自分にとって居心地の良いメンバーが残ってくれているのだなあと、そんなところに嬉しくなった。

空腹披露宴スタート


そうこうしているうちに会場が整い、親族写真を撮ってもらい、お次は披露宴である。
衣装チェンジなどはないが、ネックレスオフ・胸元コサージュオン・イヤリングチェンジという、間違い探しのような小物チェンジだけ施してもらう。

それにしてもおなかが空いた。朝9時に会場入り、メイクをしてもらう前にうずらのたまご1個を食べてから、何も口にしていない。
私はいつも基本3時間ごとに何かを口にしているので、この時点で4時間以上空いているため、もう空腹具合がすごい。
そんなにかしこまった披露宴でもないため、みんなの前であろうと絶対に美味しい料理を食べるぞ…という気分でいっぱいだった。
披露宴会場のドアオープンの前に、アテンドスタッフの方が「おなかすきました?」と声をかけてくれ、「ペコペコです」と返すと「美味しい料理を作ってるんで、いっぱい食べてくださいね」とお墨付きをくれた。これで心置きなく食べまくることができる。

「ごはんの時間だ…」と想いを募らせているうちに、指定していた入場曲『桃/スピッツ』が流れ始める。私は大のスピッツファンで、要所のBGM指定箇所は、すべてスピッツで固めた。まず1曲目から大好きなその曲で、その時点で夢が1つ叶った気がして心が満たされる。友人の中には同じようにスピッツに詳しい子がいて、きっと扉の奥では、イントロ鳴った瞬間に悶えてくれているだろうなーと思っていたのだが、扉オープンし、案の定「スピッツこのチョイス…!」というのを口にせずとも伝わるいい表情をしてくれており、ほんとこの曲をセレクトしてよかったなあと思った。

ふうと落ち着く間もなく、新郎から挨拶、そして乾杯の挨拶は私がやるという流れになっていた。誰かに頼むのもなんだか気が引けたので、もう我々で完結させようという算段だ。

乾杯の挨拶、どんなことを話そうかと、実はちょっと悩んだ。軽やかにひとことでも問題なさそうだが、せっかくの場だし、なにかしらみんなへの感謝の気持ちは伝えたい、でも新郎の友達もいるしあんまりパーソナルすぎることはしゃべれない、そもそも冒頭からなんかしんみりさせたり長々聞かせるのも違う気がする…という悩み方であり、つまりは温度感をどのへんに設定しようかというものだった。
だけど、考えたところで、実際に思っていないようなことや変にドラマチックなことは、話していても棒読みになってしまいそうである。その結果、ありのまま、本当にありのままの気持ちを述べるに至った。
私には特に大きな野望や目標はなく、なるがままやってきたけれど、節目節目ですくい上げてくれるくれる人がいたこと、私にこれといった取柄はないけれど、周りにいてくれる人々が唯一の誇りであること、それをとっても感謝しているということ。結局、私が今日来てくれた人に伝えたいことって、そういうことなんだよなあと。それ以上でも以下でもないけど、これからもよろしくね、と言いたかったのだ。
だいぶ簡潔ではあるが、そんなことを伝えられたので、こういう機会も悪くないなあと思えた。


そして乾杯した瞬間、巻き巻き披露宴は次の項目に移ることになる。いきなりケーキ入刀である。
ケーキも無課金でいけるやつにしたが、平べったい長方形にベリー系がしきつめられたケーキで、なかなか可愛かった。少人数のためみんな近くに寄ってくれるから、ケーキ自体に高さを出さなくても何の問題もない。
おなかがすいて仕方がないタイミングだったので、もうこのケーキも食べたくて仕方ない。
『大好物/スピッツ』のBGMで入刀したあと、ファーストバイトでまず夫が私に食べさせてくれる。
「待ってました!!!」という気持ちだが、普通のスプーンでわりと目いっぱいすくおうとしている。それはそれで面白い感じになるが、空腹の今、普通に食べたい。
「ちょっとでいい…ちょっとにして…!」と小声で伝えるも、こんもりと盛られた状態で口に近づいてきた。ひとくちでは収まりきらない…。
迷った挙句、とりあえず小さめに一口食べて、みんながわあ~と言ってくれている間に、スプーンに残っている分をもう一度迎えに行った。ファースト・セカンドバイトを一気に終わらせた。ちゃんと美味しいケーキである。
わざとらしくないようにさりげなく二口目をいったつもりだったが、友人はしっかりと見ていて、終了後「二口目いってたの、“らしい”ね」と言ってくれた。一旦誉め言葉として受け止めておこう。



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