ちゃちゃとの出会い

当時、夫婦共に仕事を早期退職し、メロン栽培を始めた時だった。
そろそろ収穫時期になる頃、朝畑に行くと、無残にも大きく穴があけられムシャムシャと食べられたメロンの残骸があちらこちらに。

翌日も、
そのまた翌日も。

アライグマだった。

なんとかしなければ。

そんな時、顔見知りの郵便配達の方が、猟犬にぴったりのワンコが最近生まれて貰い手を探しているんだけど、どうかい?と声掛けあり。

さっそく会いに行きその可愛さにひとめ惚れし、我が家の家族になった。

それがちゃちゃとの出会いだった。

家には横浜からやってきた「さくら」とその子供の「モコ」がお出迎え。おチビながら身体は3匹の中では一番大きいが、先輩の「さくら」がお母さん替わりになっていた。

散歩は「さくら」を先頭に「モコ」「ちゃちゃ」と続くがそれもつかの間、あっという間に大きくなり、先陣をきるようになった。

夜、成長したちゃちゃを車に乗せ旦那と私、アライグマ退治に馳せ参じ、ちゃちゃの勇姿を期待したのだが・・

あらら、
ちゃちゃは気持ちよさげに寝ているではないか。

畑に住処を作り、そこで寝起きをさせなければと言われたがそれが出来なくて、
アライグマ退治の役目は諦めることにした。

リードをつけたことがないちゃちゃ。
自由自在にに走り回る毎日。

15年前、医者から農業を出来る身体じゃないと言われメロン栽培を止め、現在の住処に移り住みそれからはリードでの散歩に変った。

リードを見せると逃げ出すちゃちゃ。
自由に飛び回っていたちゃちゃのリード散歩は引きづられるほどの勢いだ。

“ちょっと待ってちゃちゃ!”

そんなちゃちゃが歳を取り、後ろ脚が思うように動かなくなった時、幾ばくの思いだっただろうか。

ちゃちゃの寝床に視線がいってしまう。
まだそこにちゃちゃが寝ているかのような。

耳が遠くなったちゃちゃをいい事に、寝ているちゃちゃの横を素通りし残っているご飯をついばむカラス。

カラスが今日もやってきたが、
ご飯がない。

そうだよ。
ちゃちゃがいないんだよ。

遊んでくれたね。
ありがとう。

さくら18歳、モコ20歳、ちゃちゃ14歳。
写真が1枚増えた。

13歳の風太が側で寝ている。
母さん子の風太。

夜勤などで私が不在の時は、玄関を出たら最後、自分の寝床から一歩も動かないと言う。
それもあり夜勤は辞めた。

誰でも死を迎える。

同年輩の風太と我が夫婦。
穏やかにゆっくりゆったり共にいい時間を過ごしていきたいと願う。

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