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恐怖のドライブ

氷点下18℃の景色は壮観だ。
木々は霧氷で覆われ白一色に染まる。
ワンコの風太を助手席に、写真を撮りに車を走らせる。

途中、コ~コ~と白鳥の声が聞こえてくる。
声の先に進むと小高い丘があり、車の輪だちがあるので登ってみると・・・
あらら~!
沢山の白鳥がコ~コ~鳴きながら川をゆっくり進んでいる。
左右は急こう配ながら輪だちの跡あり、霧氷に覆われた木々を眺めながら土手沿いを走ってみようと進むが数メートルで輪だちが消えている。
マズイかな・・・
不安がよぎる。
だいぶ進んでしまっている。
狭い道幅、左右は急こう配の土手。
その道をバックで戻る技量も度胸もない。
きっと出口があると信じ進むが、ハンドルを何度も取られ、車は左右に揺れる。
一歩間違えれば土手を転げ落ち川にポッチャン。
ワンコ共々白鳥とご対面となりかねない状況だ。
心臓はパクパク。

出口が見えない。
建物が見えてきたがそこが出口かわからない。
歩いて建物まで行くと通行禁止の標識。
戻るしかない。

眼下に民家が見え、そこに続くなだらかな坂。
ここしかユータン出来る場所はない。
周囲の雪を踏み固め、切り返し切り返し無事にユータン成功。
こんなに進んだと思うほど長い道のりだった。
行きも帰りも、助手席の風太は右や左に揺れ動かされ、か~ちゃんは必死にハンドルを握り前を見つめる。

恐怖のドライブだったけど、大鷲に出会えた。
数メートル前に大鷲2羽が獲物を食べている。
あっ!写真!
残念ながらそんな余裕はない。
大鷲が羽ばたいたあとの雪の上は血に染まり、小動物の足跡がそこかしこに。
なにはとも生きて帰れた。

やれやれ。

昨年の大雪をふまえジムニーに買え替えたのが恐怖のドライブの始まりだったが、ジムニーの走行強し。

調子にのってはならぬが、
あの大鷲にもう一度会いたい。
息をのむほどの荘厳さがあった。

恐れを知らない70歳。
今度ばかりは恐れをしった。




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