誕生まで④|先天性心疾患
「全前置胎盤もそうですが… 赤ちゃんの『心臓』に異常が見られます」
言葉を失った。
(こんなに元気動いているのに、どこが悪いんだ?)
(生まれても障害が残るのか?)
(そもそも子どもは助かるのか?)
疑問、不安、恐怖... あらゆる感情が頭の中を巡った。
「『先天性の心疾患』で、簡単に言うと『心臓の大動脈と肺動脈が本来の位置と逆に形成されている状態で、出産後に手術が必要』になります」
と、医師は続ける。
夫婦で失意のどん底に落とされた。
元々は「全前置胎盤」の診断のための転院。
しかしそこで、幸か不幸か、息子の「先天性心疾患」が判明…
今思えば、早期に判明していたことで、覚悟や心の準備だけでなく、物理的な用意が出来たことは幸いだったし、早い段階で発見してくれた主治医には本当に感謝しかない。
だがやはり当時は、
「とにかく健康で生まれてきて欲しい」
と強く願っていたし、生後まもなく開胸するほどの大手術 が必要というのは、親としては精神的ダメージが大きすぎた。
「ほぼ間違いないと思いますが、念のため新生児科・循環器科などにも共有して、また次回、正式な診断名含め各担当も同席の上診察致します」
と医師から案内があり、その日は帰宅した。
「全前置胎盤」も母体に大きな危険が伴う病気。
そんな中さらに、お腹の中の息子に「先天性心疾患」。
ダブルパンチ、泣きっ面に蜂…そういった表現では言い表せない程の衝撃。
私自身も酷く落ち込み、妻も涙が止まらなかった。
妊娠した段階から、妊婦健診は夫婦二人で受診していて、必要に応じて私が両家の親にLINEで報告をしていたが、今回ばかりは指が動かない。
気持ちの面でもそうだが、そもそもどう説明しようか悩む。
まだ、正式な診断名を言われたわけではなく「先天性心疾患の疑いがある」という段階で今日は終了している。
ひとまず、報告するためにも自分たちで少し調べてみることにした。
「先天性心疾患 心臓 逆」
「心臓 管 逆」
「心臓 大動脈 肺動脈 逆」
といったワードでGoogle検索をかけてみたところ、どの検索にも必ず引っかかる病名が一つだけ存在した…