見出し画像

2024.2.18(虚無から散歩)

土日を虚無に過ごしてしまう割合がふえた。15時まで寝てしまうとか。まあそのくらいなら、土日虚無過ごし界隈からしたらたいしたことではないかもしれない。15時からあらゆる銭湯が開き始めるので、気になっていたが行ったことのなかった銭湯に歩いた。途中、神社があったので立ち寄ったが、神社組合だか神道連盟だかの家父長制ゴリゴリのポスターが貼ってあったり、何年も使いまわされて色違いのが混ざりまくってるおみくじが雑に幾箇所も置いてあったり、「ご興味あればお持ちください 神主」と書いたディスプレイに一式戦闘機や紫電、二式大艇といった旧軍航空機のプラモが飾ってあったりして、これはやばいところに来てしまったと思った。「神社は全部そういう思想だよ」と友達からツッコミが入ったとおり、「そう」なことは知ってはいたが、こんなにも露骨にやっている神社には初めて来たから引いてしまった。神様に罪はない、と思いながら一応手を合わせた。

なんかそういうのを引きずったせいか銭湯もいまいち長居する気がせず早々に出た。番台のばあさんの態度とか普段は気にしないのだが、つとめて愛想よくしてお金を払ったのに、なにか去り際にぶつぶつ言われたのが頭に残った。入ると、先日行った別の銭湯とまったく同じ壁画で混乱した。間違えて同じところ来ちゃった?と10秒くらい考えたけど風呂の構成が少し違う。壁に近づいてみると印刷物の…壁紙のフィルムみたいだ。なるほど、どっかの業者がそういう耐水壁紙のようなのを卸しているのだろう。まあ、カラオケの壁紙やカルディの紙袋みたいな柄でないだけよいけれど、そして壁画家やタイル師の跡継ぎがいないといわれるなか、資金もあまりないだろう銭湯がそういう直しかたを選ばざるをえないのはしかたないけれど、ちょっとテンションが下がった。同じかあ。全身に彫物のある人がいたのもあって入浴をそそくさと済ませ出ると、外に張り紙があった。休日を増やす旨。「申し訳けありませんが当店主体力の衰えに勝てません すみません」なんとなく気分が沈んだ。

少し歩くと三軒茶屋の商店街に出た。歩行者天国なので道路の真ん中を歩いてみる。歩行者天国って言葉にいつまでも慣れない。天国って。エースをねらえ!を読んでいる友達がいて、天国の話が出るといつも「天国では長い箸を持った人たちがお互いにご馳走を食べさせあって幸せに過ごしている。地獄では自分のことしか考えていない人たちが長すぎる箸では自分の口に入れられないと狂乱して苦しんでいる」という、作中で出てくるたとえ話の持ち出してひと盛り上がりする(作者の山本鈴美香はのちに新興宗教の教祖となった)。あれ、ググっても出典がない。作者のオリジナル説話なのだろうか?にしても、そんな地獄に落ちるような人たちが手づかみで食べるでもなく、箸のおしり側を持つというマナーを行儀よく守っているというのはおもろい。


歩行者天国もWikipediaに項目がある。

さて。で、三軒茶屋キャロットタワーの展望台に行った。無料なのでいつも暇を潰している人がいる。時間のせいか今日はとくに盛況だ。前に二回行ったときはいずれも夜で、夜景もきれいだったけどやはり街のディテールが見える夕方がおもしろい。陽が傾いて、雲や建物の影が長く伸びている。まっすぐはしる大通りを見てなぜだかイタリアとかの風景を思い出す。べつにイタリアで高所に上った記憶はないのだけど。

しばらく三軒茶屋をうろついた。俺の中でこの街を四つくらいのエリアに分けているのだけど、それを全部回った。小腹が空いたけどちょうどいいところが思いつかなくてついラーメンを食べてしまう。ついでに旧い喫茶店に入った。2階の喫煙室と往復しながら日記を書いている。ここで今に追いついた。

どうしようかな。帰って映画でも観るか、「漫画の図書館」で「凪のお暇」でも読んでみようか。まえに「攻殻機動隊」を読んでみようと思ったが、情報量が多すぎてやめた。「進撃の巨人」も10巻くらいであきらめた。むかし仲の良かった先輩が大学4年生くらいの頃、「わたしは最近闘争がテーマみたいな漫画読めないんだよね」と言っていたけど、なんだかわかる気がする。バトルものを観たり読んだりするのがだんだんキツくなってきてる。あんまり乗れない。

前に「呪術廻戦」が今M-1を意識した展開を盛り込んでいて面白いという話を友達がしてくれた。その話はすごくおもしろかったけど読もうという気にはなれなかった。なんか、WEB配信という形式を利用して(漫画自体が)戦っているという構図にもそんなに乗れない。ヒップホップとかに結果あまり興味を持てなかったのもそういうところなのかもしれない。ルールが常に更新されていくゲームを追い続けるというおもしろさ。おれはそもそも小学生のころから流行に背を向けて生きてきたわけで、生理に合うはずもない。まえに先輩に、「福地はそういう好みでもないのに何でヒップホップ聴こうとしてるの?」と問われたことがある。あなたの影響ですよ、としかいえなかった。まあ丁寧にいうなら、自分が黒人音楽を志向している以上、いま一番イケてる黒人音楽であるところのヒップホップを聴いておかなければならない、と思っていたわけだけど、その頃はその考え方を内面化しすぎてうまくいえなかった。もちろんそういう、常にアップデートされる音楽をやる人を否定してるわけではないし、なんなら憧れもある。でも自分はそういうタイプじゃなかったんだなとわかってきたというだけ。結局おれはDr.Dreの作ったビートあたりしか聴いていかないかもしれない。それはまあ、しかたない。マイ・ビジネスじゃないということ。それで無理して、ヒップホップ取り入れてます、というポーズだけは欠かさないジャズミュージシャンみたいになるのが一番ださい。

どっかの政治家のブログが「文才がありすぎる」とTwitterで取り上げられていた。ぜんぜん「そうか?」としか思わなかった。「文才」だって。エッセイとか読まないのかな。まあ、7年くらい前に「スタバで女子大生が〜」とかいう、明らかにつまらない…つまらなすぎるブログがバズったのと大差ない。大学の頃、なんか文章を読みたいという気持ちがあって、でも自分の読みたい本を見つける体力と金がなくてネットで読み物をあさった時期があるんだけど、それこそ「文才」があって内容も面白い文章ってけっこう普通に転がっていたものだ。ま、結局「政治家が実は」というところで注目されているにすぎない。おれの友人たちの書く文章の方が100倍面白いし、文章も上手いし、誠実だと思う。こんなふうに取り上げられても嬉しくないかな。

さて…昨日もいろいろ有意義なことがあったので書きたいけど、いまいち文章として流れていく気がしない。だからしばらくはよどませておこう。出て、漫画読みに行くか帰るかしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?