2024.7.28(ベロベロ)

 御茶ノ水に行ってきた。なんとなくベース欲しかったし、買わないまでもギターをなんか色々試したいなあという気分だったから。灼熱の太陽の下まあまあな遠出になるわけでリスクを感じたが、日傘がたまたま届いたのでこれならいけるかと思った。結局アスファルトの照り返しに苦しめられながらの道のりではあったが。日傘を差そうが暑いもんは暑い。でもないよりはマシ。

 なるべく地下鉄を使ったおかげで到着まではそこそこの消耗で済んだ。いつものごとくずらりと並ぶ楽器屋をひととおり回って気になったのを弾いていく。KAYのとんがった形の薄いフルアコと、77年のテレキャスター、それに現行エピフォンのレスポールスペシャル、Acousticの古いギターアンプに東海のシルバースター。あと何か弾いたっけ。初めにあげた2本はなかなか面白かったけどどれもそれなりで、やっぱりギター買うタイミングじゃないんだなとか思った。ベースも2,3万のを探してたけど全然ない。御茶ノ水に来るたびにどっかの大学から来たバンドサークルの連中が浅い知識を後輩に振りかざしていてあーあーという気になる。親と来てる高校生とかもいる。がんばんなさいと思いたいが99%の子は俺とまるで関係のない音楽をやるのだろうからやはりどうでもいいと決め込んでしまう。

 消耗品で安売りのものを探すがこれもいまひとつ。なんかもう御茶ノ水って自分がワクワクする街ではないかもなと思って、神保町の伯剌西爾でタバコ吸って時間潰そうかなと思いながら歩いていると久しぶりすぎたのか神田の方へ向かってしまった。神田といえばのりトースト、名店エースだが先日店を閉めてしまった。しょうがないのでなんとかいう新しめの喫茶店に入って喫煙席に座ると妙に暑い。見回すと、喫煙席である2階にはどうもエアコン自体がないようだった。マジかよと思ったがマジ。お冷のグラスがどんどん汗をかいていくのを見ながらアイスティーを頼んだ。店員が次々お冷を注ぎに来る。冷たい水で少しでも涼をということなのかもしれないがとにかくエアコンつけてくれよと心底思った。よその店で座っているのにこんなに暑い、という体験が久しぶりすぎて、小学生のころに行ったインドネシアだかタイの飲食店の記憶がフラッシュバックする。そうそうファンタと間違えてドクターペッパーを飲んでうわーとなったっけ。しかし暑くて、思い出に浸る余裕もない。妙にアイスティーが届くまでの時間が長く感じる。御茶ノ水で買ったレコードを並べて写真を撮っていると注文の品がきた。パフェに使うくらいでかいグラス。勢いよく飲み干して会計をした。店長らしき若い男は金髪に丸メガネ、薄い髭をはやしたいかにも軽薄そうな奴で、ああこういう奴ならそうだろうとか思った。

 久しぶりの神田をうろついてみるが休日の昼間に歩く街ではなかった。開いてる店が少ないし、夜のあの活気がない。元彼女の地元が神田だったので7年くらい前は時折来ていたのだけど、基本的にはサラリーマンの街だ。ああ。のりトースト食べたかったなあと思いながら帰路につく。今日なんなんだ?

 機嫌が悪いタイミングで今日会う約束をしていた従兄弟から一時間遅れて大丈夫かとの連絡が来る。従兄弟の文体はもともと素っ気ないというか、!とか絵文字とかを一切使わない朴訥スタイルなのだが、虫の居どころが悪かったせいでついぶすくれた返信をしてしまった。このやろう、親と喋ってるときかっつうの。しかし俺の気の使い方も強迫的というか、過剰適応なんだよなあ、だから人が素でいるとイライラすんのかな。反省しているとそれはそれで疲れていく。

 まあそんなこんなのうちに帰って着替え、飲みに行った。駅前で待ち合わせ。目当てをつけていた焼き鳥屋が満員を超えて並んでさえいたので、何かと入りがちな居酒屋で飲む。ビールがわりにホッピーを飲み続けてしたたかに酔い、いきおい話も盛り上がった。家族のこと、音楽のこと、映画のこと……。こんなに楽しいのは久しぶりかもというくらいだった。でも内容についていちいち書いていくときりがないからやめておく。結局家になだれこんで、また飲みまくり、ベロベロになって帰っていった。俺はふとんを押入れから半分引き出して寝た。

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