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2024.3.3(春?)

3/3。ひな祭り。両津勘吉の誕生日。そして大学の先輩の誕生日でもある。こういう並びで憶えているのもあって、今年もああと思い出して先輩にLINEをした。家族の誕生日もビートルズの誕生日もはっきり知らない俺としてはこれは異例的なことではある。もう一人はっきり憶えているのは、友人の誕生日、9/3。これはドラえもんのと同じだから。

大学の同期で異様になにかの日付を憶えてる奴がいて、たとえばサークルの部室で飲んでこんな話をした時、あれいつ頃だっけ?みたいなことを言うと、「あああれは何年の時の何月何日だわ」みたいなことを普通に返してきたりした。「俺日付おぼえるの特技なんだよね」と言っていたけど、あんまり披露することがなかったので(それを初めて聞いたのが大学4年めくらいだった気がする)かなりびっくりした。俺だったら毎回言って煙たがられちゃうけど。妙にそういう自制心の強いやつだったなと思う。しかしそんな正確さで日付を憶えるって、どういうプロセスで行うのだろう? 俺なんかはこれを書き出した時ですら今日が何日なのかいまいちわかってなくて、iPhoneで確認しかけて、あ、そうだったな、と思い出したくらいだった。ふだんから日付をあまり意識していない。このあたりがスケジュール感覚が薄いとか言われがちな一因かもしれん。そういえば今年が令和6年っていうのもまったく思ってなくて、先日本気で驚いた。てっきり4年くらいだと。そして今これを書く時も自信がなくて一度調べた。


今日は起きて、適当な朝飯を食べ、ギターを少し弾いてから髪を切りに行った。半年くらい長めにして真ん中で分けるようにしてもらってたのだが最近髪の量がものすごく、かえってセットが難しくなってきたので普通に前にしてたような「マッシュ気味」にしてもらった。マッシュって言いたくないんだけど「マッシュルームカット」と言ってしまうともはや違う髪型になりそうな気がして「マッシュ気味で…」と伝えたのだった。この2年ほど通っている美容院はなんというかストリート系というのか、ヒップホップっぽいというのか、バーバーというのか…とにかく、美容師の人が全員タトゥーを入れていて、かっこいい服を着ているところだ。壁には往年のラッパーの肖像写真とか、コービー・ブライアントのユニフォームのレプリカが飾ってあったりする。レイカーズとか。まあ、いまいち知らないのだけど、はじめ行った時は緊張したものだ。いまは担当についてくれてる人が(見た目はそういう感じなのだけど)丁寧で物静かな青年なので落ち着いて行けている。どういう流れだったか祖父の話になる。彼のおじいちゃんは沖縄の町工場で発明をして、東京に出てずいぶん出世した人だそうだ。いま戦争を知ってる世代がどんどんいなくなってるから怖いですよね、まして沖縄なんて…とか、思わず口にしたけれど、けっこう気をつかう話をしてしまったなと思った。

他の席では高校生と思われる客と、その店で一番よく喋るにいちゃんの美容師が話していた。「彼女作るのはね〜」というフレーズが聞こえたので、ちょっと意識して聴いていたら、「彼女作ろうとか女が欲しいみたいなつもりじゃなくて、まず友達になんないと。女も男も人間なのは変わりないじゃん笑 最初から変に"女扱い"して寄ってったらヤリモク?と思って距離置かれちゃうよ」……すごいまともなことを言っていた。そんな、偏見もって聞いてたわけじゃないけど。ようは付き合う付き合わないの前にちゃんと人間関係を築かなきゃでしょ、というふうに聞こえた。本当にそうやんなと思う。でも俺自身高校の時は(女子の友達とかいなかったわけじゃないのに)いざそういう話になると変に「男と女」みたいな訳のわからない意識に囚われていたなと思い出す。あれはなんだったのだろう? いつの間にロマンティック・ラブ・イデオロギーやら男尊女卑思想やらがインストールされたのだろう。そして今だってそれが完全に取り払われたわけじゃない。

まあ、それで、髪を切って、鏡の中の自分にけっこういいじゃん、と思いながら店を出た。普段行かないところで飯を食おうと思ったけど気軽さに負けて適当なラーメン屋に入ってしまう。看板の感じからわかってはいたが「サイテキカイ(®︎稲田俊輔)」的な、「好まれる要素」を全部突っ込んだだけの、こだわりのないラーメンだった。太めのちぢれ麺、魚介豚骨ダシのこってりしたスープ、燻製のチャーシュー。卓上には生にんにくと豆板醤と魚粉、胡椒、酢…。よくある筆文字(強調するところは赤字)で、「おすすめのトッピング」の但し書き。こうやって並べ立てるだけで読んでる人は大体味がわかるんじゃないかとすら思う。全部がとっ散らかっていた。まあこんな言うなら初めから入るなよって話でしかないのだが。この虚無が、また数日間は俺の細胞の一部をかたちづくる。

で、天気がいいから展望台にまた登ってみる。いつものごとく暇をつぶす人たちと、少しの観光客。前にスウェーデンの人とたまたま行き合って一緒に飲んだときとか、除夜の鐘に並んだときも思ったけれど、最近の観光客の人は世田谷まで足を伸ばすのだね。銀座とか渋谷じゃなくて。ガイドブックにどんなふうに書かれているのだろう。でも渋谷あたりをまわるとして、三軒茶屋あたりに宿を取るっていうのはたしかにという感じがする。おれがロンドンのパディントンに泊まったのと似た感じだろうか。最初の夜にそこのパブに行ったけど、あんまり観光客はいなかった気がする。

5分しかいなかったのにずいぶん書いたな。そしてまた歩いていつものごとくコロラドでこれを書いている。マッチが残り一本。これを喫ったら部屋に帰ろう。そして練習しよう。本でも読もう。やっと冬が終わりそうだ。

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