著…川内倫子『うたたね』

　こんにちは。

　「死」について考えるというよりも感じ取りたい…という方におすすめの本をご紹介します。

　何気ない日常の一瞬一瞬を写した写真集です。

うたたね

　誰かがコップで水を飲むところ。

　流しに溜まった洗剤の泡。

　誰かの腕に蟻が乗っているところ。
 
　木に引っかかってしまった風船。
 
　麺を鍋で茹でるところ。
  
　そんな、普段ならわざわざ写真を撮ることのない、でも誰もが見たことのある光景。
 
　もしも瞬きをする度にシャッターを切れたとしたら、きっと一生のうちにこういう写真がたくさん撮れるんでしょうね…。

  やわらかな雰囲気の写真の中にまじって、虫や鳥や魚の死骸の写真も載っています。

　優しい世界の中に混じるこの不穏さに違和感を覚える方もいるでしょう。

　しかし、この不穏さも世界の一部。

  自分が日常としての一瞬を生きている今この瞬間も、そう遠くないどこかで誰かが死んでいる…、そんな大切なことにも気づかせてくれる写真集です。