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kiyosemnote
編…別冊宝島編集部『文豪たちのラブレター』
芥川龍之介から妻:塚本文へ。
坂口安吾から恋人:矢田津世子へ。
高村幸太郎から後の妻:長沼智恵子へ。
太宰治から愛人:太田静子へ。
夏目漱石から妻:夏目鏡子へ。
…といった文豪たちの恋文とそれにまつわるエピソードを解説した本。
現代語訳が中心ですが、原文が載っているものもあるので、風情がより伝わってきます。
…ひとさまの恋文を、差出人にも受取人にも無断で読むというのは、なんだかとてもいけないことをしている気分になるのですが。
さすがは文豪。
どなたの恋文も、まるで小説の一文の如く美しいです。
だからわたしは惚れ惚れしながらこの本を読み進めました。
相手のことが可愛くてたまらず想いを募らせるあまりに甘〜い甘〜い文面になっている芥川龍之介の恋文がとびきり微笑ましいのと比べて、相手を崇拝し過ぎて「今日から御主人様と呼ばして頂きます」と相手を女王様扱いする谷崎潤一郎の潔いまでの変態っぷりには驚かされますが、きっとこれも谷崎潤一郎なりの恋愛の仕方なのでしょう。
また、わたしは「もし自分が頂けるならどんな恋文がいいかな?」と妄想しながらこの本を読んだのですが、
「手紙はやっぱりいけない。会って下さい。僕は色々話さなければならないような気がします」
という坂口安吾の言葉がグッときました。
恋焦がれる感じが素敵!
手紙というものはとても雄弁だけれど、想いを伝えるには心許ないですものね。
やはり会って直接伝えないと。
しかし、直接話したとしても自分の気持ちが相手にまっすぐ伝わるとは限りませんから、本当にもどかしいですね…。
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