著…安藤なつ マンガ…まめこ『介護現場歴20年。』
著者は小学校一年生の夏、伯父さんが経営している介護施設に遊びに行ったことがきっかけで、介護現場に関心を持ったそうです。
これは、それから約20年間も介護現場と関わってきた著者の体験をまとめた本。
どのエピソードも、読みやすい文章や可愛らしい漫画で紹介されているので、内容が頭にスッと入ってきます。
カズレーザーさんとの出会いを含む、芸人活動のあれこれも書かれているので、ファンブックとしても楽しめます。
著者は、夜間の訪問介護も3〜4年続けたのだそう。
夜にあちこちのお宅を訪問し、約20分しかサービス提供時間が無い中で、利用者さんの同居家族を起こさないように配慮しながらオムツ交換をしたというエピソードからも、プロの仕事の凄さが伝わってきました。
その中に、「オムツ交換しますね」と声をかけたら利用者さんが目を覚まし、「バケモノ!」と叫んだというエピソードがあります。
夜中に暗闇から人が現れたことで、利用者さんはとても驚いたのかもしれませんね…。
普通なら、とっさに「バケモノじゃなくて人間です」と否定しそうなところですが、著者の場合は冷静そのもの。
「そうなんです、向こうの山から来たバケモノなんです。山でオムツ交換の練習をしてきたので任せてください」
と言ったのだそう。
利用者さんがバケモノが来たと思ったという事実を否定せず、まず受け止めて、そこからうまくオムツ交換に繋げたのが凄いですよね。
また、この本には、介護福祉士、特別養護老人ホームの施設長、サービス提供責任者といった方たちと著者の対談も掲載されています。
その方たちが話す、介護現場のやりがい、困っていること、工夫していることを、うまく著者が引き出しているので楽しく読めました。
〈こういう方におすすめ〉
介護現場のリアルな声に関心がある方。
〈読書所要時間の目安〉
30分〜1時間くらい。