マガジンのカバー画像

おすすめの本一覧

1,514
「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。新旧・ジャンル不問。
運営しているクリエイター

#立東舎

著…芥川龍之介 絵…おく『藪の中』

著…芥川龍之介 絵…おく『藪の中』

 ある男が死んだ。

 しかも、どうも殺されたらしい…。

 そう疑って聞き込みをする検非違使に、

 ●遺体の第一発見者
 ●生前の様子の目撃者
 ●容疑者に心当たりがある者

 といった様々な人々が自分の考えを語るところから始まる小説。

 ⭐️Kindle版

 ⭐️単行本版

藪の中 (立東舎 乙女の本棚)www.amazon.co.jp

著…太宰治 絵…すり餌『猿ヶ島』

著…太宰治 絵…すり餌『猿ヶ島』

 自分がどこで誰と生き、そして死ぬか。

 それを決めるのは自分自身だ。

 というメッセージ性を感じさせる小説。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 深い霧に包まれて、今が昼なのか夜なのか判然としない。

 木はあるものの、これまで慣れ親しんだ場所とは何かが違う。

 何がどうとは言えないけれど、明らかにおかしい。

 そんな島に、この小説の主人公は辿り

もっとみる
著…谷崎潤一郎 絵…夜汽車『二人の稚児』

著…谷崎潤一郎 絵…夜汽車『二人の稚児』

 女性という生き物の多面性や、同じように育った人間だとしても考え方が異なるということを描いた小説。

 そして、ダメと言われれば言われるほど気になってしまう人間のサガも表現されています。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 この小説の主人公は二人います。

 千手丸と瑠璃光丸です。

 二人は幼い頃に女人禁制の比叡の山に預けられました。

 いずれも、俗世

もっとみる
著…太宰治 絵…ねこ助『魚服記』

著…太宰治 絵…ねこ助『魚服記』

 主人公・スワを取り巻く様々な「死」が描かれている小説。

 暗めのイラストが相まって、不穏な雰囲気が渦巻き、先が気になってつい一気に読んでしまいます。

 スワの身に何が起きたのかはっきりとは書いてはいないのに、読者に事情が伝わる文章力が凄い!

 読後感は決して良くないけれど、太宰好きには避けては通れぬ作品。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 まだ幼

もっとみる
著…坂口安吾 絵…しきみ『恋愛論』

著…坂口安吾 絵…しきみ『恋愛論』

 ●自分の恋愛観

 ●キリスト教における「愛」に当てはまるようなものは古来の日本には無かった

 ●「すきだ」「惚れた」「愛す」といった日本語のニュアンスの違い

 といったことについて坂口安吾が熱く語っている本。

 ピンク色を基調としたページや、可憐でありながらも微量の毒を思わせるイラストが素敵なアクセントになっています。

 わたしは特に、

 という言葉が好きです。

 何かに打ち込む時

もっとみる
著…谷崎潤一郎 絵…しきみ『魔術師』

著…谷崎潤一郎 絵…しきみ『魔術師』

 どんなに摩訶不思議な魔術よりも、恋する力の方がずっと強くて哀しいのだと教えてくれる小説。

 きっと、恋人たちを引き離すことは、どんなに偉大な魔術師にだって出来ません。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 多くの人を魅了する美貌の魔術師。

 誰もがその魔術師の虜になります。

 主人公も例外ではありませんでした。

 …けれど、主人公の恋人は別。

 

もっとみる
著…夢野久作 絵…ねこ助『ルルとミミ』

著…夢野久作 絵…ねこ助『ルルとミミ』

 童話のような愛らしさをたたえながらも、非常に悲劇的な小説です。

 そこに可憐なイラストが合わさることで、いつまでも時を忘れて見惚れていたくなる美しい一冊となっています。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 兄のルル。

 妹のミミ。

 2人はとっても仲良し。

 父を亡くして、兄妹ふたりきり、支え合って生きてきました。

 けれど、ある夜。

 ルル

もっとみる
著…堀辰雄 絵…ねこ助『鼠』

著…堀辰雄 絵…ねこ助『鼠』

 暗闇の底で優しい光に手を伸ばしているかのような気分に浸らせてくれる小説です。

 読むと泣きたくなります。

 まるで綺麗で悲しい悪夢を見ているみたいで…。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 子ども時代に、

 「秘密基地」

 「隠れ家」

 といったものに惹かれた方は多いのではないでしょうか?

 この小説の主人公もまだ幼く、そして、隠れ家と秘密を

もっとみる
著…萩原朔太郎 絵…しきみ『猫町』

著…萩原朔太郎 絵…しきみ『猫町』

 最近よく異世界モノの作品を見かけますよね?

 漫画、小説、アニメに「異世界」と名のつく作品の多いこと多いこと…。

 このことから、いかに現代人が「異世界へ行きたい」と思っているかがよく分かります。

 きっとみんな現実世界のありさまに辟易しているのですね…。

 さて、この小説の主人公も、まさに現実世界にうんざりしているタイプ。

 ただし、主人公の場合、異世界モノの作品を楽しんでしばしの夢

もっとみる
著…梶井基次郎 絵…しらこ『Kの昇天』

著…梶井基次郎 絵…しらこ『Kの昇天』

 「死」にどうしようもなく吸い寄せられていく哀しい魂たちを描いた小説。

 切ない文章表現と、死の冷たさを感じさせるイラストが美しい一冊です。

 ※注意
 以下の文は、結末まで明かすネタバレを含みます。
 未読の方はご注意ください。

 ある病を抱えて療養地にやって来た「私」。

 「私」はちっとも眠れなかったので、寝床から抜け出し、海岸へと向かいます。

 月夜も随分更けた頃…。

 砂浜をひ

もっとみる
著…ポー(斎藤寿葉訳) 絵…まくらくま『黒猫』

著…ポー(斎藤寿葉訳) 絵…まくらくま『黒猫』

 アルコールがいかに人を変貌させ、周りの人や動物を傷つけることになるか…。

 その恐ろしさを教えてくれる小説。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
 また、残酷な描写がありますので、閲覧注意です。

 主人公は、元々は心優しく、動物好きな性格でした。

 …ところが。

 主人公は、すっかり変わってしまいました。

 酒乱になったからです。

 妻に暴言を吐

もっとみる
著…芥川龍之介 絵…げみ『蜜柑』

著…芥川龍之介 絵…げみ『蜜柑』

 あなたは最近、「世の中はまだ捨てたもんじゃ無い」と思ったこと、ありますか?

 あなたが少々イラつきながら公共交通機関を利用していた時、そこでたまたま他の乗客の心あたたまる様子を見て、ほんの少し幸せな気持ちになったことは?

 これはまさにそういう素敵なシーンを描いた小説です。

 主人公と同じ汽車に、ある一人の少女が乗り合わせます。

 少女は三等車の切符を手に持っているのに二等車に乗ってきま

もっとみる
著…江戸川乱歩 絵…ホノジロトヲジ『人間椅子』

著…江戸川乱歩 絵…ホノジロトヲジ『人間椅子』

 変態による変態のための変態を描いた小説。

 妖しい江戸川乱歩ワールド炸裂!

 どんな風にも解釈出来るオチも含めて、大好きな作品です。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 この作品のタイトルだけを読むと、「まさか人間が椅子になるの…?」と怖くなる方もいるかもしれませんね。

 安心してください!

 ある意味合っていますが、違いますよ!

 人間の皮や

もっとみる
著…森鴎外 絵…いとうあつき『木精』

著…森鴎外 絵…いとうあつき『木精』

 いつまでも変わらないものなんて無い、と気づかせてくれる作品。

 澄んだ空気、優しい雨、美しい夕焼け、そして星の光を描いたあたたかみのあるイラストが、この物語の切なさをより味わい深くしてくれます。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 主人公は子どもの頃、山にやって来ては「ハルロオ」と呼びました。

 しばらく待つと木精が「ハルロオ」と答えてくれるのが、嬉

もっとみる