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おすすめの本一覧

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「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。新旧・ジャンル不問。
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#河出書房新社

著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『青い煮凝り』

著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『青い煮凝り』

 無名のオペラ歌手。

 彼女に恋焦がれた男性・ジャスパー。

 これは二人の悲劇の物語。

 出逢ってはいけない二人が出逢ってしまったから…。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 …と言っても、彼が一方的に片想いをしていただけ。

 彼女にとって、彼はファンの一人に過ぎません。

 少し、『オペラ座の怪人』を彷彿とさせるストーリーですよね。

 しかし、

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ぶん…アン・グットマン え…ゲオルグ・ハレンスレーベン やく…石津ちひろ『リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく』

ぶん…アン・グットマン え…ゲオルグ・ハレンスレーベン やく…石津ちひろ『リサとガスパール ルーブルびじゅつかんへいく』

 リサとガスパールは学校の授業でルーブル美術館に行きました。

 いいなあ!

 なんて素敵な授業…。

 この絵本を読むと、自分もリサとガスパールと一緒にルーブル美術館を歩きながら、芸術を目の前にして素直な感想を語り合っているような気分を味わえます。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 裸の彫刻たちを見たガスパールが、

 と言ったのが、とてもユーモラス

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編…河出書房新社『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』

編…河出書房新社『14歳からの映画ガイド 世界の見え方が変わる100本』

 作家、精神科医、学者、芸人、声優、映画監督といった様々な立場の方たちが映画について熱く語っている本。

 『大脱走』、『七人の侍』、『インターステラー』、『ひまわり』、『スタンド・バイ・ミー』、『ローマの休日』といった有名作品をはじめ、マニアックな作品も紹介されています。

 「自分だったらどの作品を14歳におすすめするかな?」と想像しながら読むと、より楽しめる一冊。

 同じ作品であっても、観

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著…アーサー・コナン・ドイル 訳…小林司、東山あかね 注・解説訳…高田寛『シャーロック・ホームズ全集 新装版 第2巻 四つのサイン』

著…アーサー・コナン・ドイル 訳…小林司、東山あかね 注・解説訳…高田寛『シャーロック・ホームズ全集 新装版 第2巻 四つのサイン』

 たった一つの品物の状態から、その元の持ち主の性格、経済状況、更に今の持ち主との間柄まで言い当ててしまうシャーロック・ホームズ。

 普通の人なら気づきもしない些細なことにも意識を向け、殺人事件の謎を解いていく。

 その思考の過程が興味深い一冊です。

 しかしながら、やはり注目したいのは、今作の冒頭でホームズが自分の腕にコカインを射っているという点…。

 当時はコカインの危険性が今のようには

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著…ノジュオド・アリ、デルフィヌ・ミヌイ 訳…鳥取絹子『わたしはノジュオド、10歳で離婚』

著…ノジュオド・アリ、デルフィヌ・ミヌイ 訳…鳥取絹子『わたしはノジュオド、10歳で離婚』

 児童婚の壮絶な実態について書かれた本。

 イエメンの地方には「9歳の少女との結婚は、幸せな結びつきの象徴」という諺があるそうです。

 イスラム教の開祖ムハンマドが妻・アーイシャと結婚した時、アーイシャが9歳だったことにも由来するようですが、それ以前からこうした幼い女の子との結婚は珍しいことではなかったそうです。

 昔の日本も、まだ幼い妻を娶ることは珍しくなかったそう。

 …が、日本におい

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著…アーサー・コナン・ドイル 訳…小林司、東山あかね 注・解説訳…高田寛『シャーロック・ホームズ全集 新装版 第1巻 緋色の習作』

著…アーサー・コナン・ドイル 訳…小林司、東山あかね 注・解説訳…高田寛『シャーロック・ホームズ全集 新装版 第1巻 緋色の習作』

 シャーロック・ホームズシリーズを現代的な文章で翻訳し直した小説。

 第一作目にあたる今作では、シャーロック・ホームズとワトスン先生の出会いや、レストレイド警部、そして「刑事警察ベイカー街支隊」と呼ばれる子どもたちの活躍も描かれています。

 ホームズが推理を行う時の、思考の組み立て方。

 事件の核心に近づいた時のワクワク感。

 臨場感のある挿絵。

 そして、

 という表現のかっこ良さに

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著…ヤマザキマリ『猫がいれば、そこが我が家』

著…ヤマザキマリ『猫がいれば、そこが我が家』

 人生のどの場面でも、傍らに猫がいた。

 そんな著者が猫への愛を語ったエッセイ。

 ある時、著者は愛猫を不慮の事故で亡くし、ペットロスになりました。

 食事が喉を通らず、仕事も手につかず、ふいに涙がこぼれる。

 そんな時、旦那さんがこんな言葉をかけてくれたそうです。

 素敵な言葉ですよね。

 もしもあなたが旦那さんの立場だったら、どうしますか?

 たとえば、「命あるものはいつか必ず死

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著…假屋崎省吾『花のあるライフスタイル 使える賢い50のヒント』

著…假屋崎省吾『花のあるライフスタイル 使える賢い50のヒント』

 高い花材や花器が無くても工夫してお花を生ければいい、というスタンスで書かれた本です。

 ●あえて全ての葉をとって花と茎だけを残したものと、他の葉とを組み合わせる。そうすることでシンプルモダンに仕上げられる…という「一花一葉」の考え方

 ●黄色と青色など、反対色を組み合わせる

 といった、花とお付き合いしていく上でのヒントが書かれています。

 その中で、時折お母様のエピソードが出てくるのが

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著…大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』

著…大空幸星『「死んでもいいけど、死んじゃだめ」と僕が言い続ける理由 あなたのいばしょは、必ずあるから』

 顔も名前も声も出すことなく、24時間365日いつでもチャットで悩みを相談できる無料窓口を運営している著者の本。

 人は時折「ひとりになりたい」と願うものですが、それと「ひとりになってしまう」のは全く違うものです。

 この本では、後者について言及されているため、読んでいて胸が締め付けられます。

 個別の事例紹介はありませんが、相談窓口に寄せられる悩みの内容から、いかに孤独を抱えた方が多いかが

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ぶん…アン・グットマン え…ゲオルグ・ハレンスレーベン やく…石津ちひろ『リサのいもうと』

ぶん…アン・グットマン え…ゲオルグ・ハレンスレーベン やく…石津ちひろ『リサのいもうと』

 もうすぐ弟か妹が生まれる。

 パパとママだけでなく、みんなを赤ちゃんにとられてしまうような気がする。

 だから、ついやきもちを妬いてしまう。

 …そんなリサの気持ちを描いた絵本。

 もしかしたら、家族って、すぐ家族になるのではなくて、思い出を作りながら少しずつ家族になっていくものなのかも…と気づかせてくれるストーリー。

 この絵本を読んだら、心がじんわりと温かくなりました。

 特に、

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著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『うろんな客』

著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『うろんな客』

 不思議なリズムの訳文が「うろんな客」の正体と絶妙にマッチ。

 奇妙なイラストの魅力と相まって、人を惹きつける絵本です。

 なお、「うろん」とは、「正体がわからない」という意味。

 ※注意
 以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。

 この絵本のストーリーは以下のようなもの。

 ある家に突然「うろんな客」がやってきます。

 「うろんな客」はその家の家族とは違う姿をして

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編…石川桂子『竹久夢二♡かわいい手帖 大正ロマンの乙女ワールド』

 誰かを想っているかのように、憂いを帯びた美しさ。

 自分も竹久夢二のイラストに描かれた乙女に少しでも近づきたい! と思っている方におすすめの本です。

 わたしが好きなのは、「大正乙女になりたい夢二流メイク&着こなし」というページ。

 まず、メイクのコツは、

 着こなしは、

 そして何より大切なのは、

 ということ。

 ただ外見を真似するだけでは駄目なのですね。

 可憐な表情や、ゆ

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著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『優雅に叱責する自転車』

著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『優雅に叱責する自転車』

 深読みすればするほど味わい深くなるエドワード・ゴーリーの世界観を存分に楽しめる作品。

 ※注意
 以下の文は、結末まで明かすネタバレを含みます。
 未読の方はご注意ください。

 もしかしたら浮遊霊の物語かもしれません。

 この『優雅に叱責する自転車』は。

 クロッケーの鎚でお互いを叩き合っていたきょうだいの前に、突然誰も乗っていない自転車が現れて、きょうだいを連れ去っていきます。

 行

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著…三宅香帆『(萌えすぎて)絶対忘れない! 妄想古文』

著…三宅香帆『(萌えすぎて)絶対忘れない! 妄想古文』

 推しカップリングを見つけると、古文はもっと楽しくなる…という本です。

 たとえば『枕草子』『源氏物語』『伊勢物語』『更級日記』『万葉集』といった著名な古典文学の面白さについて、共感しやすい文体で紹介してくれます。

 まるで、カフェでお茶をしながら友達に「〇〇が面白いよ!」とおすすめ作品を教えてくれるかのような親しみが感じられます。

 わたしも学生の頃にこの本と出会いたかった…!

 「古文

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