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家庭教育のゴールはどこ?

家庭教育とは?

まだ一人で生きていく力のない子どもが、将来人間社会で生きていくため、よりよく生きるために貢献できるようにしていくために、一定の能力開発が必要です。ここでは、「子どもが将来自立して生きていくために、家庭という小さく緊密な人間集団の庇護のもと、一定期間かけて能力開発を進めていくこと」を家庭教育と定義してみます。家庭教育と学校教育は、場所だけでなく、関係者や目的、そして期間を含む資源が異なります。

家庭教育の目指すゴールはどこ?

子どもが将来どうなったらいいでしょう?ご家庭によって当然答えは違うことでしょう。今ある時点から、将来のある時点の状態にあるギャップを埋める作業ということもできるでしょう。わたしは、次の3つが大切でありゴールになりうると考えています。
 1. 心身ともに健康で育つこと
 2. 人間関係も健康で育つこと
 3. 経済的にも健康で育つこと

一つずつ見ていきましょう。

1. 心身ともに健康で育つこと

生き物である以上、時間とともに心身が成長・変化していきます。この時に、必要な栄養素・睡眠・運動が確保できるように、保護者は例えば食事を作り・寝かしつけ・公園やお散歩に連れていくわけです。喜怒哀楽のバランスが取れ、自分の快を充足できる環境で過ごすことで、心も健康に育ちます。子どもの成長に合わせて、必要な環境を提供していくことが保護者の大切な役割の一つですね。

2. 人間関係も健康で育つこと

保護者に愛され、お友達を作って遊び、自分の気持ちと相手の気持ちの折り合いをつける。他人とコミュニケーションをとって、協力しながら暮らしていくことができるようになる。人の愛し方を学び、愛の交歓のなかで生きる喜びを味わうことができたら、子どもは自身も幸せですし、周囲も幸せにすることでしょう。生きていくこと=愛することですから、生きていけるようにするためには、自分も他人も愛せるようになることが欠かせません。

3. 経済的に健康に育つこと

「経済的に健康」とはあまり聞き慣れない表現かもしれません。言わんとしていることは、経済的に一人で生きていく力、収支サイクルを持っているということです。平たく言えば「食っていける」状態になるということです。たとえば社会貢献する力を養うことで、収入を得やすくなります。資産家の家庭であれば、資産を管理・運用していく方法を身に着けることで、収入を継続的に得ていくことができます。浪費したら有限な富はやがてなくなります。

子どもが健康に育つために必要な3つのこと

では、子どもが心身、人間関係、経済的に健康に育つために必要なことはなにか?数えたらキリがないくらい多くの要素があります。その中でも、私が子育てをする上で、大切に考えているものは次の3つです。

 (1) 親が自分自身の人生を生きること(自立)
 (2) 子どもの存在を喜び・受け入れ・信じること(愛)
 (3) 機会ある環境作りとコーチング(導き)

(1)自立と(2) 愛は、大前提とも言える基盤部分となります。「養育」の文脈ならまだしも「教育」というテーマでは当たり前すぎて脚光をあびない要素。でも土台の弱い家が崩れやすいように、基盤がしっかりしてこその「教育」です。養い、教え、育てる。育つのは子ども自身であり、誰かが肩代わりできるものではありません。

また、成長は変化です。

(1)親の自立: 親が自分自身の人生を生きる

自立している親は、子どもに自分の人生の価値を投影させません。親子の適度な距離感があります。

(2)愛: 子どもの存在を喜び・受け入れ・信じること

愛のある親は、子どもの人格や存在を否定しません。何をしたとしても存在そのものは別物である。いやむしろ積極的に肯定するがゆえに、子どものとった行動に対して愛と思慮のある反応を返してあげます。

そして、完全に自立して、常に完全に愛している親はいません。いや、客観的にそのような方もいますが、その方もその方の中で葛藤や失敗を感じられているのが普通です。完璧な親を目指すという無理ゲーは避けましょう、というのがここでの趣旨です。

(3)教育:機会ある環境とコーチング

自立した親からの十分な愛が継続して与えられる状態で、適切なレベルで遊ぶ・試す・挑戦する機会が自由に手に入る環境に身を置き、自分を導いてくれる存在がいることで、子どもは変化を遂げていきます。変化が成長です。

どう評価するのか?

教育の内容が良かったのか。はたまた悪かったのか。結果への評価は、その時代の社会が持つ価値観によって変わると考えます。社会が維持・発展に寄与するとみなせる場合に、その「教育」は成功したと評価されるでしょう。ただし時代と社会が変われば、その「教育」は失敗だったという結論にたどりつくかもしれません。誰も完全な答えを持ってはいません。

しかし一定の軸があったほうが、一貫性を持って成長・変化できるわけです。わたしは仮説として、愛かどうかを持って推し量るのがよいと信じています。「愛の宗教」とも言われるキリスト教、いや厳密に言えば宗教ではなく、愛し愛される生き方の哲学に基づいて、親自身もあゆみ、子どもにも歩ませるのが、結果的に社会(という人間の集合体)に貢献することになり、心身・人間関係・経済をはじめ、あらゆる点で生きる上での利益を子ども自身が受け取ることができると考えています。喜び、楽しみ、感謝が多い人生を過ごすことができると考えています。さらに愛に生きる幸せを他の人にシェアし、自分の子孫に引き継いでいくことまで可能となります。有形無形の財産を遺し、施すことができるようになることは、悪くない人生ではないでしょうか。

まとめ

家庭教育は、子どもの自立のためのもの。目指すゴールは、心身・人間関係・経済の健康。そのために必要なことは、親の自立・愛・機会ある環境とコーチングということを述べてきました。これはあくまで、ひとつの家庭の例です。以上で述べたことには、賛同できる箇所もあれば、納得できない箇所もあるでしょう。各ご家庭で考え、試し、家族みんながハッピーになれたらいいですね。そのための、小さなキッカケになれば幸いです。


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