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【21】本物の廃人(!?)になったおかげで気付いたこと
このあたり一連のエピソードを人に話すと、「実家で本当に廃人になれたんだね。廃人は、やっぱ狙ってするもんじゃないね(笑)」と言われる。
本当にそうだなと思いつつ、とはいえ本物の廃人というのもおこがましい気もするけど…
今回は、実家に引き篭もったあとの心と行動の変化を書いていくね。
世の中で役に立ちそうなことがやりたくなかった
引き篭もった後は、もぬけの殻のように何も考えられなくなり、布団からほぼ出られなくなった。
最初は何もすることができず、考え事もほとんどできなくなっていた。「今日の夜、カレーかシチューかどっちがいい?」くらいの簡単な質問さえ、何も考えられず泣いてしまうありさま。
母が昼間、連れ出してくれる散歩だけはかろうじて出かけていた。
多分1ヶ月くらいで、ちょっと元気になってなんかしようかと思えるようになったんだけど、最初刺繍でもするかと思って入門キットを手に取った時、なぜか「何かの役に立つことだけは絶対やりたくない!!」と思った。
それまで「役に立たなければ」と生きてきた反動だろうか。
それで、選んだのがナンバープレース(ナンプレよごめん)というパズル雑誌。
そしてもう少し回復した時にこんどは、ここまでしてくれる親に何か少しでも返せないかと思い、母親が好きだと言ったシフォンケーキを毎日ひたすら焼き続けていた。(何日目かに、母からそろそろ違うものが食べたいかなって言われた笑)
そうして少しずつ心が落ち着いていったのか、ある時突然「あ、いま『自分』が帰って来た」と思えるタイミングがあった。
その日を境として考え事もできるようになり、そのタイミングで私を外に誘い出してくれる友人たちもいたりして、徐々に社会へ復帰していった。
引きこもり脱出まで2ヶ月ほどかかった。
長く生きているだけですごい
この頃、1日がものすごく長く感じた。朝目が覚めるたびに「一体今日これからの時間をどうすればいいんだろう?」と途方に暮れて泣いていた。
そこから一生に考えが及ぶと無限の長さに感じられ、「この状態が一生続くの?」とまた暗い気持ちになっていた。
「そろそろ死んでもいいんじゃないだろうか。でも死ぬのは怖いし親にも迷惑かかるから、消えられたらいいのに」と思った。
でもある時自分自身に「もし、今消えることができるとしたら、それによって誰か別の知らない人の命が救われるとしたら、消える?」という問いがふと浮かび、自分自身に聞いてみたら「嫌だ」と答えている自分がいた。
その時に「私は本当はもっと生きたいんだな」と分かった。
そんな状態だったので、年配の方が窓の外を歩いているのを見るだけで「この世の中をそんなに長く生きられるなんてすごいなあ」と思った。
「ただ生き続けるだけですごいことなんだなあ」とこの時から思えるようになった。
幸せには、環境よりも自分の心が大事だと識る
いくら他の人から見て「幸せな暮らしだね」と思っても本人は幸せだと思えていないということもある。
お金もたくさんあって、立派な家や車があっても不幸そうにしている人もいるときく。
逆に、発展途上国で稼ぎが少なくて、私たちから見たら「大変そうだね」と思えるような暮らしでも、当人たちは幸せそうに目が輝いていたりする。
「幸せ」というのは、客観的に「幸せそうな環境がある」「物理的に恵まれている」ということ以上に「幸せを感じる心があるかどうか」で決まるんだろう。
「自分は衣食住もきちんとあって、発展途上国の人たちと比べたら恵まれているはずなのに幸せだと思えないなんて、自分はダメだ」というようなことを言う人がいる。私も昔はそう思っていた。
当時の私の生活で言うと、衣食住に加え、20代のころと違って仕事や営業成績へのストレスもないし、怒られることもないし、人間関係のトラブルもほぼなかった。
しかしどんなに状況が恵まれていても、それだけでは「幸せ」を感じることができなかった。
だからといって「自分は幸せだと思わなければならない」と、無理やり自分に言い聞かせても、本心を変えることはできない。
外的に私を苦しめる要素がなかった私が、それでも苦しかったのは、自分の心のせいだった。
それは、私は不十分だ、このままじゃだめだ、誰からも選ばれない、絶対成功しなければ……といったもの。
そして、私はそういった思い込みから生まれた暗い感情を押し殺して心にたくさん閉じ込めていた。知らないうちに。
前の私は、本心では「幸せ」と思えてないのに、頭で「幸せ」と言い聞かせ続けた結果、本心が抑圧され、感覚がマヒし、押し殺していた感情がためきれなくなったんだと思う。
でも結局最後には爆発し、溢れだしてしまった。それがこの時の引きこもりだった。
続く!
それではホニャラ~
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