弁当売りの書店員③
『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』の重版に気を大きくした私は、有楽町、渋谷に続き、生まれ育った台東区の上野へと向かった。
1月6日(土)15時00分~「弁当売りの書店員 @明正堂書店アトレ上野店」
前々日に突然「やる!」と言い出したのだが、お店も出版社も対応が素早く、むしろ自分だけが間に合わなかった。
上野といえば、パンダ。新井・シャンシャン・見枝香として、パンダの着ぐるみパジャマ姿で注目を集めようと思ったのだが、アマゾンプライムで注文した商品は間に合わず、ドンキで見つけたパンダマスクだけを抱えて行くことになってしまった。
しかも、これを被るのは私ではない。横に立つ出版社の営業さんと、謎の応援団だ。パンダ熱の高い上野では、これでかなりの注目を集めることができよう。
明正堂の2人はというと、なぜか自主的にヅラを被り、法被姿で一緒に呼び込みをしてくれた。通常、書店には全く必要のない仮装グッズを豊富に取り揃えているところからして、お祭り体質なのだろう。そういうところ、大好きだ。
決行前日、せっかく生まれ故郷の台東区なのだから、そのことをアピールしたほうがいいのでは、と思い立った。上野は有名な観光地ではあるが、私にとってはモロ地元であり、明正堂はチャリで通った馴染みの書店である。きっと、そういうお客さんもたくさんいるはずだ。
そこで急遽、身内感をそそる文言「台東区出身」「根岸小卒」を、弁当売りケースに貼り付けることにした。
「私も根岸です」
「うちの息子が根岸です」
「根岸じゃなかったけど根岸の近くに住んでいます」
足を止めてくれた人は、ほとんどが根岸小関係者で、私を見る目が妙に優しかった。
そして地元トークに発展すると、最終的にほとんどの人が本を買ってくれた。
「わかったわかった、1冊買ってあげるから」という、しょうがないなぁ的言葉や、「小学校時代の仲間にも宣伝しておいてあげるよ」という親戚のような身内感に、思い付きは正解だったと実感したのである。
本を買う理由は様々だが、その人を応援したいという気持ちで買うケースがあり、この土地に限っては、その感情に訴えるのがいちばん確実な方法であるようだった。
弁当売りの書店員・新井見枝香、弁当売りの書店員・新井見枝香、区民の皆様のご支援をしっかりと受け止め、最後まで頑張って参ります!ご声援ありがとうございます!
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