ミラノ風ドリアは現金で【クレジットカード編】
家賃を払い込んだら、現金が手元に410円しか残らなかった。だが、社会的信用をまだ失っていない私には、クレジットカードがある。
コンビニはもちろん、隣駅の大きなスーパーはクレジットカードが使える。給料日まであと10日もあるが、カードさえあれば大阪にだって仙台にだって行けるのだ。(ライブハウスのドリンク代だけなんとかすれば)いつも通りの生活である。
だが、ひとつだけ大問題があった。平日のランチだ。神保町は中華やカレーなど、手頃なランチを提供する個人店が多く、クレジットカードを使える飲食店がない。食べログでカードが使える店舗を調べて行っても、ランチは現金のみと貼り紙があったりするのだ。危うく無銭飲食をするところだった。
ところで書店は、たとえ100円の求人雑誌(今は廃刊)でも、カード利用を断らない。1000円分の商品券で1080円の本を買って端数の80円をクレジットカードで支払う人も全然珍しくない。いつもカードで支払っているから、利用額に関係なく、その人にとっては自然な行為なのだろう。
もし書店でクレジットカードが使えなかったら、私の場合、次の給料日まで週刊誌1冊買うことができない。これは活字中毒の私にとって、死活問題だ。しかしコンビニならカードが使える。週刊誌くらいは売っている。ネット書店など、カードがなければ買えないほどだ。もう、カードを使えない書店に戻ることはできないだろう。
ただでさえ少ない利益が、さらにさらに少なくなっても。
決済の手数料は、店の負担である。これはちょっと、想像した以上の割合で持っていかれる。生まれ変わったらカード会社になりたいくらいだ。
もし近所の中華料理屋がランチもクレジットを使えるようにしたら、580円の麻婆豆腐定食は一体いくらになるのだろう。お値段据え置きなら、杏仁豆腐がなくなるレベルだ。
そして、気付いてしまったことが辛いのだが、客単価は中華料理屋のランチも書店も大して変わらない。
次回は『ミラノ風ドリアは現金で』【電子マネー編】です。
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