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ポメラ1画面小説という提案

 ポメラニアンの同胞の中で、DM30、200、250の飼い主たちは。
 ポメラのスクリーンショットをどのように使っているのだろう。

 ポメラはメモ機能特化型のガジェットだが、ガジェットらしい機能もついている。その中のスクリーンショットはどう利用すればいいのかなかなか難しいものだと思う。
 そんなスクリーンショット機能を有効活用できないかと考えてみた。
 7インチの画面を目一杯使って一遍の小説を編むことはできないだろうか。

表示設定

 見やすさと、一画面に表示可能な文字数を増やすべく色々と操作してみて、次の設定にすることにした。

  • 全画面表示をオン

  • アウトライン非表示

  • グリッドなし

  • フォントサイズは最小の16

  • 行間隔は1/2行(0行は見づらかった)

 さて。まずは一画面で何文字書けるかの確認だ。小説は縦書き主義の私は無論、初手は縦書きで。
 小説のお題系のサイトで引っ掛けた「おぼえがき」でなんとなく書いてみる。

出力結果

◆◆おぼえがき◆◆ 「ああーっ!」  絶叫を上げ、精密機器をベッドに向かって叩きつける。全力で腕を振ったが、その勢いはそのほとんどをコットンに吸収され、軽くバウンドした後に。  私のアンドロイドは、私の心そのままにベッドにぽてんと横になった。  荒い呼吸を二度、三度。  ぎしりとイヤな音を立てて、一日の四時間は居座る椅子に深く座り込む。  今度は長く息を吐いて。 「死ねっ、一週間前の私!」  その言葉に呼応するように。  卓上のポメラに『電源をオフしています。しばらくお待ちください。』の文字が浮かんだ。  オートパワーオフは十五分に設定してある。つまりその間、一文字も打っていない。お前私の相棒だろ、相棒の心臓を鋭角に刺すな。  胸の内でため息を五、六〇回連発する。途中から「はあ?」の猫ミームに取って代わられた。ヘイヘイユーユー! 君おとなしいねー♪  ……ダメだ。こんな茶番劇を垂れ流しているから日課が少しも進まない。  のっそりとポメラの電源を長押しする。少し間を空けて『pomera』と映り、パッとカレンダー画面に切り替わった。今日を選ぶ。  先ほど定型文から貼り付けた、日々のタスクが表示された。四角いままのマスが並んでいる。……運動はやったからチェックつけとこう。☑、☑、☑。  その中の一つにため息が漏れる。 『□お題から千文字程度の短編を書く』  この項目を増やしたのは先週だ。相棒ともう少し仲良くなりたいからと、深く考えもせずにタイプした。短慮過ぎるだろ本当に死ね。  これらのタスクのリミットはアナログ時計の針が南天を指すまでと決めていた。でないと「今は二十六時!」とか馬鹿なことを言い出すのが目に見えていたからだ。言いたいなあ、言いたいなあ。明日も仕事じゃなければなあ。  窓の外から自然光が消えて久しい。  夕食も、風呂も、歯磨きも終えた。私を邪魔するものは眠気だけになったが、逆に言えば逃げ場がない。  椅子のキャスターをジャーッと鳴らして、ベッドに埋まったスマホを取る。 「ジョン・タイター」を検索した形跡に肩が落ちる。見間違いじゃないし、ちゃんと認識して調べている。偉いぞ私。偉いが愚かだ。  今日のお題だ。聞き覚えのない単語に、検索し、ウィキを読んでそのままYoutubeに飛びしばし。五つ目の関連動画をタップする直前に正気に戻り、スマホをベッドに叩きつけていた。  ……まあ。動画である程度は知識もついた! これなら書けるぞ、この時間は無駄じゃなかったん――  手の中のスマホがピピピッと鳴く。午前〇時のアラーム。  この七日間。『□お題から千文字程度の短編を書く』のチェックボックスは一度しか塗られていない。
縦書き一画面小説

 これで1099文字。タイトル込み。
 この書き方は千文字程度が可能なのだろう。
 思っていたよりも画像が小さくBMP形式だったため、200%に引き伸ばし、jpg形式で保存し直した。

 私は記憶にあるだけの「ジョン・タイター」に関する内容を、新規作成したファイルに書き込むと、パタンとポメラの蓋を閉じて。  トイレに行って、布団を胸までかぶり。 「明日は、もっと書きやすいお題が出ますように……」  誰を思い描けばいいかわからない神様に祈って。  頭まで布団に潜り込んだ。
横書き画面分割一画面小説

 また、横書き分割で1239文字。下の1行が見づらいので、ここは消してしまったほうがいいかもしれない。
 それでも1200文字は書くことができる。一行が短いのなら、こちらのほうが長く書けそうだ。

 見出しも、ルビも、太字も斜体もない。縦書き一画面千文字の小話。
 誰かに刺されば幸いだ。

 ちなみに。行間を1/4行にするともう二百文字ほど打てる。このあたりは文字数との兼ね合いと好みだろう。

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