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こういうのが書きたい! 「パリ警視庁迷宮捜査班」(ハヤカワポケットミステリ)がどえらく面白かった!

「パリ警視庁迷宮捜査班」(ハヤカワポケットミステリ)を読了。

フランス版「特捜部Q」との触れ込みにすぐさま購入、読んでみたが、これがもう大正解だった。「特捜部Q」と同じく、様々な理由から警察組織をはみ出してしまった者たちが集められた特別班の話だが、こちらは登場人物がかなり多い。設定では全部で四〇人近くいるらしく、その中からとりあえず出勤してきた七人ほどが活躍する。

その仕事はコールドケースの再捜査であるが、実際にはまるで期待されていない。率いるのは、出世街道驀進中に起こした不祥事で半年の停職になり、あけたばかりのアンヌ・カペスタン警視正。そして特捜班の面々は、山のようなコールドケースの中からふたつの殺人事件を見つける……

とにかく、楽しいというのが、まず最初の読後感。事件自体はシリアスで、かなりダークな話であるが、それを吹き飛ばしてくれるのが特別班のキャラクターだ。老若男女、というのもおかしいが、集められた連中ひとり、ひとりが、本当に個性的で、面白く、でも、決して無能ではない。

そしてそれを率いるカペスタン警視正がクールで格好いい。こういう上司がいてくれたらというのは、定番の誉め言葉だが、それでも使ってしまうほど癖のあるメンバーの手綱さばきが素晴らしいのだ。

そして食べ物の描写の豊富さは特筆ものだ。それだけでも、きっと楽しめるし、勉強になる。メンバーが捜査しながら、食べるシーンは本当に面白く楽しかった。

ちょっと正統派とはいえないかもしれず、こういう警察小説はほとんどないが、読んでいてとても楽しかった。まあ、わたしの好みに一致したのかと思う。

続編小説はもちろん読みたいが、それ以上に、こういう警察小説ってあまりないので、自分が書きたいと強く思っている。この作者のようなタッチは、手前味噌ながら、わたしと結構似ていると思っているのだが。とにかく、こういう物を手がけることができればと願っている。もし、どなたか書かせてやろうと思う方がいらっしゃいましたら、何卒よろしくお願いいたします。


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誉田龍一
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