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【第五十四夜】『花咲く乙女たちのかげに』夜話 – プルーストの処方箋

ちょうどその頃のことだったが、ブロックは——

今夜もハナは話をはじめた。◆

「このブロックくんが出てくるところ、ちょっと唐突というか、ここだけ何年もあとの話になってるよね」

「なんかね、急に大人の話だしね。でも、ここの部屋に宿っているものをスワンさんの家にあるものと比較しようとしてるんじゃない?」

やがてこの娼館に行くのをやめることになったが、それというのも、これを経営している女が家具を必要としていたので、彼女への好意を示そうと思って、レオニ叔母の形見にもらったいくつかの家具——とりわけ大きなソファ——をやってしまったからだ。これは家では見かけたことのない家具だった。なぜなら場所がなくて両親がこれを室内に持ち込むのを禁じていたために、納屋に積んであったからだ。けれどもその家具がこの家におかれ、そこにいる女たちに使われているのを見たとたんに、コンブレーの叔母の部屋を空気のように満たしていたすべての美徳が、まざまざと目に浮かんだ。しかもそれが私の手で、無防備にこの残酷な接触にさらされ、踏みにじられているのだった!

「あー、はるほどね! そうか、なんかいろいろつながってきた!」

「でしょっ! 一冊目のプチット・マドレーヌの挿話の直前にあった考察が背景にあるんだろうし、このあとのジルベルトと会わなくなるところの導入にもなってる感じだよね」

「ふむふむ、確かに!
このあと恋愛初期のあるあるもわかるーって感じだよね。ちょっとしたかけひきとかも」

◆——そうしてハナはゆっくりとまぶたが閉じていくのを感じながら、眠りに落ちていく。

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