歌詠み鳥と桜
桜の命は短い。
風が吹いては散り、雨が降っては散り、花見客の賑わしい笑い声でさえ木を揺らすのではないかと、桜の命を削るのではないかと心配になる。
そんな心配を他所に、桜は笑う。
私は青空が好きなの。
それと、お日様に照らされて笑うものが好きなの。
だから幸せよ。
大切なのは命の時間ではないの。
私が満たされていて、私が満たすということなの。
この時を、この瞬間を、風を、雨を、笑い声を、祝い歌おう。
僕が満たされるように、僕が満たすように。
あなたのいない世界でも、春を抱いて生きていけるように。