キャッツアイの思い出
よく売れたキャッツアイ
お正月とは関係ありませんが、宝石卸の仕事をしていた頃、以前書いたアレキサンドライトと一緒に扱った石がキャッツアイでした。
アレキサンドライトと同じく、キャッツアイは昔から知られていたものの、一般的なイメージは高級な宝石という事で珍しい希少石といった位置づけでした。
うちもキャッツアイを扱っていましたが、扱う先はやはり百貨店でした。百貨店用に数十万円のキャッツアイを仕入れ、枠を作って指輪やネックレスにして百貨店の外商さんに売ってもらうのです。
うちの卸値が大体50万円くらいの物がよく売れました。恐らく百貨店ではもちろん値引きもあるでしょうが、200万円以上の価格になっていたと思います。
それでも、小さなダイヤモンドをキャッツアイの周りにグルっと一周留めた「取り巻き」というデザインが主流で、石も綺麗でペンライトを当てるとギラギラした猫目が動くような石がよく売れていました。
仕入先は東京の業者さんで良い石はやはり東京に集まるんやなと思いました。
キャッツアイの宝石言葉
ちなみにどんな宝石にも宝石言葉なる言葉があるようで、キャッツアイには以下のような宝石言葉あります。
集中力と洞察力
キャッツアイの特有の効果は、石を傾けると生まれるキャッツアイ効果によるもので、これが集中力と洞察力を象徴するとされます。
この石は持ち主に物事の本質を見極め、集中力を高め、洞察力を鋭くする助けとなるとされています。
直感と洞察
キャッツアイは直感力を高め、未知の状況に対処する際に洞察をもたらすとされています。
その特殊な輝きは、持ち主に先見の明や理解力を与えると考えられています。
幸運と豊かさ
キャッツアイは幸運の象徴ともされ、贈り物として渡されたり身につけられたりすることがあります。
豊かな未来への希望や成功への期待を表すとされます。
個人的にはこういった宝石言葉や花言葉に対して何か思う事もないのですが、人が購入する上でのキッカケにもなるので、侮れませんね(^^;)
小さなキャッツアイ
それとは別に普通の路面店での売出しの場合に扱うキャッツアイは小さくて、M&Mのチョコレートくらいの大きさがメインで、価格も卸価格が5万円から10万円の間といった感じでした。
指輪より、売れてからサイズ直しの手間がないネックレスがメインで同じようにダイヤモンドが取り巻いているデザインが多かったですね。
ただ、石の質は大きく違い、ペンライトを当てたり傾けてもキャッツアイ効果はあまりなく、クリソベリルという鉱物から採れたキャッツアイという名前の石だけという物でした。
それでも、売出し価格が20万円以上するので、高級な石なのです。
今まで見た中で1番高額なキャッツアイ
ボクの勤めたいた会社の社長は、東京の宝石卸業の会社の大阪支店の支店長という肩書で出身は東京でした。
大阪では色々な取引先の社長と夜は麻雀をしたりしながら、少しだけ仕事の話をしたりして過ごしていました。
その社長の中には今はもう売れてないけれど、以前は信じられないくらいの商売をしていて、コレクションのように良い石を持っている人がいっぱいいました。
その中の一人から「これ売ってくれへんか?いくらでも良いから」とバブルの遺産か何かというくらいの大きくてキレイなキャッツアイを預かってきたのでした。
そのキャッツアイは直径20ミリくらいのキレイな形で、色は黄色というか緑というか透明性も高く、ペンライトを付けなくても目線を動かすだけでキャッツアイ効果があり、購入当時の価格は2000万円したと言っていました。
売れる訳ないと思っていたら
もう今は売れないという事で日銭稼ぎの為に200万円で良いと言われたそうです。
売れる分けないじゃないかと思いながら得意先に話を持っていくと当然売れる事はなかったのですが、数ヶ月後に話がやってきて百貨店の常連さんがとても気に入ったのでネックレスを作って欲しいと言われました。
そこからが大変で百貨店の方が持ってきたデザインで作るにも時間がかかり、かなり豪華なデザインで価格もワンダフルという言葉がふさわしいデザインでした。
その後納品が終え麻雀仲間の社長さんは大喜びしたようです。それにしても日銭稼ぎであんな高額な石を売るという事が凄い。それにこういった石を持った方は他にもいっぱいいました。恐ろしい。
キャッツアイについて
ところで、初歩的なキャッツアイについてですが、キャッツアイはその特有の光沢と独特の輝きで知られる魅力的な宝石です。
キャッツアイの特徴
キャッツアイは、独特の「キャッツアイ効果」や「シャトヤンシー」と呼ばれる現象で知られています。これは、石を光源に向かって傾けると、まるで猫の瞳のような鋭いラインが石の中を動くように見える光学的な効果です。
品質の良いキャッツアイの特徴
キャッツアイはさまざまな色で見られますが、一般的には金、緑、青、灰色などがあります。色の濃淡や透明度は産地や鉱床によって異なります。
最も価値があるのは、透明で鮮やかなキャッツアイで、その中で最も人気があるのは金色のキャッツアイです。
キャッツアイの産地
キャッツアイは世界中で産出されますが、特にスリランカ、インド、ブラジル、ミャンマーなどが有名ですね。
色々なキャッツアイがありました
色々書きましたが、卸業時代は多くのキャッツアイを上から下まで見る事が出来ましたし、どれが良いキャッツアイなのかどうかもよく見れましたし、石屋さんにもよく教えてもらえました。
新人のボクに業者さんは石をどう見れば良いのか。良い石悪い石、それらの見分け方やルーペで見るべき部分などとても勉強になりました。
今はあまりキャッツアイなどを見る事も少なくなりましたが、今でも良い悪いが分かりますから、そういった経験は一生の財産になったと思います(^^)
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