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【ココロコラム】つぶれない働き方

今回はココロコラム『つぶれない働き方』全5回シリーズをお届けします。
1回目分までは無料で読めます。連載中とっても反響があったこのシリーズ、続きが気になった方はご購入お願いいたします。

つぶれない働き方(1)

つぶれやすい人の特徴

精神科の外来を日々やっていると、社会人として働いていて、重圧に押しつぶされてしまう人がいかに多いか。そして、なんとかそこから脱出して復職しても、またすぐにうつの闇へ飲み込まれてしまう人がたくさんいることを実感します。せっかく復職したのに、再休職に追い込まれる人が多いのです。

来る日も来る日もそういう相談が舞い込み、精神科医として無力さを感じますし、何とかならないかと、いつも思います。もう少し、日ごろから負荷のかからないような働き方や、つぶれない働き方、うつにならない程度の働き方を模索する必要があるのではないかと強く思います。

つぶれる人は、引き受けすぎや、お人好しという特性があります。頼まれると断れない。その結果、要領のいい人がすいすい定時で帰っていく中、「なんで自分だけが・・」という思いを抱えながら評価されない残業をして、心をこじらせがちです。無理なものは無理。ダメなものはダメとしっかり主張する習慣をつけましょう。そうでないと、社会は無制限にあなたの善意に付け込んできてしまいます。断るのは、うつを防ぐために重要な社会的スキルの一つです。

キリのいいところまで頑張らない

人に遅れまいという意識が強いのも、つぶれやすい人の特徴の一つです。復職してすぐに今までの分まで過剰に働いてしまい、また調子を崩すような人が後を絶ちません。飛ばしすぎないことが、つぶれない一つのコツです。人それぞれペースがあるので、何も横並びで動かなくてもかまいません。自分のペースを大切にしましょう。そのほうがずっと回復が早くなります。

一日の仕事を全部やりきろうとしないことも大切です。ビジネス書などには、ある程度キリのいいところまで仕事をやりきり、達成感を味わってから帰宅しろなどと書いてありますが、嘘です。そんなに物事はうまくいきません。そこまで一生懸命仕事をやってしまっては、慢性的に過重労働になってしまい、疲れがたまる一方です。労働は時間で切ったほうがいいです。そして「もうちょっとできるかな」と思う余裕があるようなところで、もうやめてしまうぐらいでいいと思います。その程度のほうが、つぶれません。特に復職過程や、心が弱っている人には、それぐらいの働き方をおすすめします。

取れる範囲で休息をとる

取れる範囲で休息を取るようにしましょう。ずっと働き続けるのと、1時間に5分ぐらい休みを入れるのとでは、仕事の能率も、精神的な負荷も、後者のほうがずっとよい結果が出ることがわかっています。淀んだ空気のような高ストレスな職場ほど、ちょっと席を外して一息入れることの効果は小さくないものがあります。

小さな成果を大げさに喜ぶ

どんな小さなことでも、成果としてちょっと大げさに喜んでおきましょう。社会人慣れしてくると、できて当たり前で、失敗したことばかりが目につきます。これが、精神を消耗させます。実は、日々こなしていることこそ、誰も評価してくれないかもしれませんが、相当な成果なのです。十分に振り返っておく必要があります。できれば、声に出して喜んだり、メモやファイルに打ち込むなどして記録しておくと、さらに効果があります。

小さな仕事をする

また、不調なときは小さなことだけをやりましょう。大きなプロジェクトなどには極力参加しないことです。資料の1枚目だけを作っておくとか、以前やっていた仕事の見直しだとか、できるだけ負荷の少ない仕事に徹したほうがいいです。調子が悪いのに無理なことにチャレンジして挫折し、さらに心の傷を広げてしまうのは、自らうつを呼んでしまうようなものです。

3年以内に離職する人が3人に1人以上います。それだけつぶれる人が多いわけです。どうにかつぶれない働き方を模索していきたいものです。

(精神科医・西村鋭介)

ココロコラム『つぶれない働き方』は全5回シリーズです。1回目を無料でお届けしました。続きが気になった方はご購入をお願いします!

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