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深夜のLINE、恋愛事変第二章。
いつも朝は機嫌が悪いのに、今日はやたらとよく喋る。わたし掃除してがいるところに、ペラペラとしゃべりながら茶々を入れてくる。我が一人娘よ。
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化粧を整え、一息ついた娘に「出かけるの?」と尋ねる。
「彼氏に会ってくる」
なんとなく、察する。だって、数日前から我が家には不穏な空気がたちこめていたから。
わたしはそそくさと掃除を終わらせ、ジムへと出かけた。重たい空気をまとった娘が空回りの元気を見せているのが、いたたまれなかったからだ。
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娘は夕方から出かけたようだ。ジムから帰ってくると、部屋はシーンと静まり返っていた。
ジムへ行った日はくたくたになるから、就寝は22時。本当のことを言うと、もっと早く布団に入りたいが、さすがに早すぎるだろう…ということで、報道ステーションが始まるまでは待機している。
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22時、完全消灯。我が家では、これ以降はもう深夜と呼ばせて頂く。
報ステとYouTubeを流し見して、瞼が重たくなってきた頃、娘からLINEがきた。この数日の不穏な空気、深夜のLINE。嫌な予感がしないわけない。
おそるおそるLINEを開く。
彼氏と別れた
THE・案の定。
しかし、正直ハタチの娘が彼氏とどうなろうと、わたしには関係ない。
だって、星の数ほど男はいるじゃないか。
これから先、いくらだって出会えるだろうに。
これは今の娘と同じ歳で結婚したわたしの持論だ。そして30歳の頃、恋愛に悩む女友達に披露して、こっぴどく怒られた持論でもある。さすがに娘にこの持論を展開するわけにはいかない。今のところ、わたしが娘に掛けられる言葉は「そうか」の一言だけである。
そんなわたしを夫は冷たいと思うようで。布団にもぐり込んで、夜通し「かわいそう…うぅぅ」と唸っていた。
腹でもよじれたのか?
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男性の方が痛みに弱いと言うけれど、恋の痛みも、またしかり。案外、恋の痛みから立ち直るのは、父よりも、彼よりも、娘の方が早いかもしれない。
編集後記:女友達に持論を展開した際、「いい人はみんな結婚してんだよ!」と怒られました。持論は自論。あくまでも個人の意見であって、うっかり披露するもんじゃないですね。反省。