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noouchi
深夜の恋愛事変。
深夜、わたしの一人娘が寝室を尋ねてきた。暗がりの中で、娘が何か言っている。
メソメソメソメソ( ノД`)
本当にメソメソとしか聞き取れないのだ。念のため紹介しておくと、わたしの娘は二十歳だ。小さい子でもあるまいし、何事か。
いや、小さい子じゃないから、かえって心配だ。
どうしたどうした?
暗がりのなか事情を尋ねると、どうやら彼氏とうまくいっていないようだった。
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『そんなことかい』…もう少しで出そうになった言葉をひっこめる。
彼氏と会えないさみしさ。終わってしまうかもしれないという不安。それらを言葉にできないもどかしさ。
あぁ、なんて二十歳らしい悩み。実に健康的だ。ひとしきり泣いたあと、ふらふらと寝室を出ていく娘が可愛かった。それで、思わず声に出して笑ってしまった。
隣で心配そうに耳をそばだてていた夫も、「プププ」と笑いを堪えている。次の日は休みを返上して仕事があるから…と早々に布団に入っていたのに、すっかり目が覚めてしまったようだ。
おせっかいだけれど娘よりも長く生きている分、アドバイスができるかもしれない。恋愛指南でも一つ披露しようか…と考えていたら、わたしもすっかり目が覚めてしまった。
だって、必然的に昔の恋愛を思い出すじゃない。
もうそりゃ目がギンギンだわ。
それから、noterの端くれらしく、noteにも書き記しておこうとか、今日のできごとを深夜の恋愛事変と呼ぼうとか…そんなことを考えていた。
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そして気づいたら朝になっていた。娘はあの後、寝られただろうか。起きてきたら、恋愛事変第二章が開演するかもしれない。
編集後記:深夜の恋愛事変を、父の遺影に向かって報告する朝。いつも笑っているように見える表情が、今朝はどことなく苦々しい。孫の成長を喜んでくれていると良いのだけれど(笑)