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金色の目のねこ【続・にゃんにゃんにゃんの日】

『もうやめな~』

と言われても、やめられないのだ。

何がって、買い物ついでに近所のペットショップを覗くことを───。


「もうやめな」と言っていた娘の予感は的中してしまった。どうしようもなく心惹かれるねこに、また出会ってしまった。

去年のニャンニャンニャンの日にお別れ(勝手にそう思っている)したうつろな目のねこは元気に暮らしているだろうか。あの日以来、わたしはペットショップを覗くのは少し遠慮していた。

またかわいいねこに出会っても、どこかの誰かに飼われてしまう…

(ペットショップだから当たり前なのだけど)

飼えないわたしを置いて行ってしまう…そう思うと、足が遠のいた。いや、遠くからチラッと眺めてはいたけれど。


ある日、わたしは不用心にもペットショップの前を横切った。そして、出会ってしまったのだ、金色の目のねこに。透き通る金色の目にはわたしの姿など映っていないようだった。一瞬視線が合ったかと思えば、プイッと首を横に振る。

決してガラス越しにスリ寄って来たりはしない。見かねて、こちらからスリ寄る。見えていないわけはなかろう。しかし、一瞥をくれることもなく、金色の目のねこはわたしに背を向ける。

首元の長い毛がふわふわと揺れる。金色の目には、やっぱりわたしは映っていないようだ。それでもまた、ガラス箱の中の流動体に会いに行ってしまうだろう。




きっと、つづく。

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