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subarasikiai
まぁまぁの料理
味に厳しい父親に料理を作るのは至難だった。
初めのうちは気張った料理を作ってみたりもしたが、退院して間もない胃腸はそれらを受け付けない様子で、ごく一般的な家庭料理が食卓に並ぶこととなった。というより、もともと料理に興味のないわたしのレパートリーはあっという間に尽きた。
そして、毎日の献立を記録したメモ帳には、父の好物である肉じゃが、すきやき、おでんが頻出することとなる。
味付けにはムラがあるため、好物と言えども全てを美味しく食べてくれたわけではない。
今日の味付けはどうだった?と問うと
『味がうすい』『まぁまぁ』
首を傾げて、『…』と無言で返すこともあった。
時には『うまい』なんていうのもあったけれど。
今までの感想を列挙すると、『うまい』『まぁまぁ』『味がうすい』『味がしない』『いまいち』『…』
──まぁまぁ、は良い方なんだな。