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Photo by
soeji
野良猫になった日【続・ニャンニャンニャンの日】
父が亡くなって2カ月足らず、まだまだ煩雑な手続きが必要だった。空前のねこの日だというのに、わたしの予定は役所巡り。ペットショップのねこと戯れたい気持ちは抑えて、近くの役所へ出向くことにした。
いつもはガラ空きの役所が、どういうわけだか混んでいる。行列に並んでいると、小さな子供のキャッキャという笑い声が聞こえてきた。混んでいても殺伐としていないのは子供の笑い声のせいだろう。近くにいる老人も、上手に笑いを引き出している。
老人があやすと、子供がキャッキャと笑う。その声を聞いて、周りの大人も笑顔になる。
和やかだけれど、役所特有のどこか事務的な時間が過ぎる。煩雑な手続きを終えて、数時間ぶりに外の空気を吸う。ちょうど、あやし上手な老人も手続きを終えたようだった。
わたしの後ろを歩いていた老人。しばらく歩いたところで、子供をあやすのとは違う声で『ニ゛ャ~~』と叫び出した。思わず、振り返る。辺りにはわたしと老人しかいない。
老人にはわたしが野良猫に見えたようだった。
編集後記:きのうの記事で自分のことを野良猫に例えてみたけれど、今日は本当に野良猫に見えたみたい。不思議だけど、嬉しい出会いでした。