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日々の徒然

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父の介護のこと、亡くなってからのこと、わたしのこと。末期がんの父を自宅で介護していた日々を綴っています。
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#父と娘

介護疲れ、明日は我が身かもしれません。【介護の相談窓口】

介護疲れ…と聞いても、ちょっと前まではピンとこなかったけれど、介護を経験した今ならわかる。





介護疲れそう。このテーマで記事を書こうと思ったのは、毎週のように介護疲れで家族を殺めてしまった…といった悲しい事件を目にするから。わたしの介護経験は父が突然の入院をして、退院をしてから亡くなるまでの3カ月ほど。

3カ月1クールのドラマが始まってから終わるまで、と考えれば短いものだ。

だけ

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プロフィールは固定するべき?【遅ればせながら、はじめまして #2】

プロフィールは固定するべき?【遅ればせながら、はじめまして #2】

noteを続けるコツやフォロワーさんを増やすコツなどが書かれた記事を読んでいると、プロフィールを固定する…といった事例が紹介されている。今日、わたしのnoteを見てくれている画面の前のあなたも、そのような記事を目にしたことがあるのではないだろうか。





先人のありがたい記事が数多く紹介されているというのに、わたしのプロフィールはすっかり過去の記事に埋もれていた。

改めて、【ほのじ介護

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実家を見る度に思い出すこと。

実家を見る度に思い出すこと。

ワクチン3回目を終えた昨日。ちょっと用事があって、実家に立ち寄った。家主はいない。

そういえば、半年前に1回目の接種をした頃は、まだ父は元気だった。いや、元気ではなかったのかもしれない。わたしが体調を知らなかっただけで。





1回目のワクチンの日、近くの病院では予約ができず、市外の病院へと向かった。その帰り道に、実家はある。

久しぶりに実家の前を通ったわたしは、頭の中で「パパは家に

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畳屋さんの早とちり【ゴミ屋敷からのSOS】#10

絨毯までもが朽ち果てた実家では、父の退院に向けて着々と準備が進んでいた。退院予定は、2週間後。なんとなくのハウスクリーニングを終えて、今度は畳の張替えをすることにした。





この時点で、退院まで残すところ数日の予定だった。だから、わたしは片っ端から電話を掛けて、最短で畳の張替えをしてくれるお店を選んだ。

幸いだったのは、電話を掛けた畳屋さんが親切だったこと。
──「父の退院までに畳を

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深夜の恋愛事変。

深夜の恋愛事変。

深夜、わたしの一人娘が寝室を尋ねてきた。暗がりの中で、娘が何か言っている。

本当にメソメソとしか聞き取れないのだ。念のため紹介しておくと、わたしの娘は二十歳だ。小さい子でもあるまいし、何事か。
いや、小さい子じゃないから、かえって心配だ。

暗がりのなか事情を尋ねると、どうやら彼氏とうまくいっていないようだった。





『そんなことかい』…もう少しで出そうになった言葉をひっこめる。

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不達の喪中はがきが陽気なおじさんを召還した話。

不達の喪中はがきが陽気なおじさんを召還した話。

つい今しがた、父の友人の陽気なおじさんが線香をあげに来てくれた。遠路はるばる…と言うには近い、隣接する市からの来訪だった。子供の頃、そのおじさんの家にお邪魔したことがあるが、とてもとても遠かった記憶がある。気が付けば、おじさんと会うのは30年ぶり。年齢というのは距離まで縮めてしまうようである。





そのおじさんに訃報を知らせるために送った喪中はがきは、どういうわけか不達だった。大変な失

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鳩サブレの缶から出てきたものは。【ゴミ屋敷からのSOS】#7

鳩サブレの缶から出てきたものは。【ゴミ屋敷からのSOS】#7

新しい命と出会い、姉にSOSを出して、ゴミの片付けはまずまず順調に進んでいた。いつしか、得体の知れない虫に出会うことにも慣れて。





ゴミ屋敷の片づけをしていて、気づいたことがあった。それは、ゴミと同じくらいお金が出てくるということ。お金といっても小銭だが、贈答用の菓子箱、梅干しが入っていた壺、コーヒーの空きビンやらに、小銭が満タンに入っているのだ。




持ち上げるのに困るくら

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その頃、父は。【ゴミ屋敷からのSOS】#6

その頃、父は。【ゴミ屋敷からのSOS】#6

わたしと姉がゴミ屋敷の惨状に四苦八苦している頃、父は。





幸か不幸か、コロナ禍の入院は面会謝絶ということで、入院の手続き以来病棟に入ることは許されなかった。だから、父の様子は本人からのカタコトのメールで知ることになる。察するに、”検査検査で毎日疲れる…”だそうだ。
そうだろう、そうだろう。高校生の頃以来、医者に掛かっていなかったのだから。

なんと返信して良いか迷うから、「何か食べた

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ゴミ屋敷からのSOS #1 高齢者の独居

ゴミ屋敷からのSOS #1 高齢者の独居

入院してから、退院までが1カ月。入院している側にとっては長いと思うが、退院の準備を進める側としては短すぎる日程だった。だって、父が帰って来るはずの家はゴミ屋敷だったから。







「具合が悪いから病院に連れて行ってほしい」と父から電話があったのは9月のとある夜こと。出先で電話を受けたわたしは、車で実家に向かった。栄養ドリンク、ゼリー、父が好きなカレーパンを買って。

実家に着いたわたし

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今になって思えば。【末期がん】

今になって思えば。【末期がん】

父がお骨となって、2カ月と少し。病気が分かってからは、まだ半年も経っていない。

亡くなってから時間が経ってきたからか、最近、遺影を見るたびに「病気に早く気づいていれば…」と思う。





遺影の写真は5年くらい前のものだろうか。飲み仲間に囲まれた笑顔の写真を選んだ。顔はふっくらとして、顔色も良い。

それから2年くらい経って、喜寿のお祝いの集合写真を撮った。今から3年ほど前のことだ。この時

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ハンチング帽に見る父の亡霊。

ハンチング帽に見る父の亡霊。

年明けに父が亡くなって、何かにつけて父のことを思い出してしまう。

駅の改札を出たところで、父とはよく待ち合わせをした。年のわりにお洒落だった父は、会うたびに違うハンチング帽をかぶり、真っ赤なブルゾンを好んで着ていた。いつかの誕生日プレゼントも、ハンチング帽だった。

だから、電車を降りて、ハンチング帽にブルゾンを着た老人を見かけると、ハッとしてしまう。

そして、ちょっと思ったのだけど、似たよう

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Amazonより便利な薬局さんとオプソとの出会い【末期がん】

Amazonより便利な薬局さんとオプソとの出会い【末期がん】


末期がんと診断された父は、その時点での衰弱具合とがんの進行状況を鑑み、自宅での緩和ケアを始めることになった。痛みを緩和して、余生を過ごすという方針だから、主に処方されていたのは痛み止めだった。その中の一つに、オプソというものがあった。

Amazonよりお世話になった薬局さん
自宅での緩和ケア生活が始まると、往診の先生や看護師さんの負担を軽減するためだろう、日常の往診で必要になる点滴や注射針が自

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毎日投稿70日を達成して、いま欲求を吐き出す。

70日の連続投稿(昨日の投稿が確か70日目でした)ができた記念に、文章を書く人の立場で、今日の記事を書いてみたいと思います。

文章を書いていると、使ってみたいフレーズに出会うことがある。

わたしの前職は調査関係の報告書を作成するお仕事でした。ねちっこく、こと細かく事実が綴られた文章は、報告書として現場に届けられ、接客業の人材教育用の資料として活用されていました。

教材として使われるものだから

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父、夢枕に立つ。

父、夢枕に立つ。

亡くなった人が夢に出てくると、自称霊感があるわたしは”何か伝えたかったんじゃないか…”なんて思う。そもそも、霊感があるかもしれない…と思ったのは、祖母が亡くなったときまで遡る。

まだ実家で暮らしていた頃、電話の音で目が覚めた。わたしの枕元からはちょうど電話機が見える。ベルがなる電話機を見た瞬間、「祖母が亡くなった」と感じた。現に、その電話は祖母の訃報を知らせるもので、わたしの父(先月亡くなった)

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