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日々の徒然

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父の介護のこと、亡くなってからのこと、わたしのこと。末期がんの父を自宅で介護していた日々を綴っています。
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#末期がん

柿の実のなる頃に【介護回顧録】

高級フルーツ店の柿は
思っていたよりも美味しくなかった。





去年の今頃、わたしは父の介護に奮闘していた。
奮闘といっても
食欲旺盛な末期がんの父に食事を作るのが
主な役割だった。




投薬のせいか、父の味覚は鈍化しているようだった。

手の込んだ料理を作っても
「まぁまぁ」と言う。
旬のものを食べさせても
「おいしくない」と言う。


そしてついに出会った。
赤々と熟れた

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位牌を忘れた話

位牌を忘れた話

いよいよ待ちに待ったゴールデンウィークだ!
明日の持ち物は、位牌、遺骨、納骨許可書、お墓の使用許可書。
子供の頃のようにリュックにおやつを詰め込んで…とは、いかない。





父が亡くなってから、なんとなく姉とはぎくしゃくしていた。ぎくしゃくしている…と感じているのは、こちらの勝手かもしれない。けど…。

介護の疲れもあったし、父が亡くなってからの手続きの大半をわたしがやっていたから、気づ

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5月の大渋滞、一息つけば空には大きな鯉が泳ぐ。【納骨の話】

5月の大渋滞、一息つけば空には大きな鯉が泳ぐ。【納骨の話】

あーこれで、一息。そう思ったのは、このゴールデンウィーク中に納骨を終えたからだ。





遠方から来る姉も、叔父もそう思ったことだろう。幸い天気には恵まれたがけれど、とにもかくにも渋滞がすごかった。

そんなわけで、数時間かけてお墓に集合。それで納骨はというと、ものの数十分で終了した。それもこれも、無宗派・家族のみでの納骨という形にしたからだ。

こういうものをおススメするのは少し違う気も

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訃報を知らせるのに良いタイミングなどない。

訃報を知らせるのに良いタイミングなどない。

あー、やっぱり泣いてしまった。

今週から仕事を再開し、来週には父の納骨を控えている。通常運転に戻りつつある、わたしの生活。だから、意を決して行ったんだ。父がよく通っていた立呑屋へ。





父が足繁く通っていた立呑屋は、わたしが通っているジムのすぐ近くにある。筋トレは趣味と言ってもいいくらいだから、わたしも毎日のように立呑屋の前を通っていた。

コロナ禍で人数制限や換気の義務を負った立呑

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【ヤングケアラー】国が打ち出した4つの支援策って?#2

【ヤングケアラー】国が打ち出した4つの支援策って?#2

いやいや、きのうはすみませんでした。4つの支援策について記事を書いておきながら、2つめを書いた時点で時間がなくなるという…。
本当に申し訳ない。今日は続きを書いていこうと思います。

③家事育児相談

家族の世話をしているヤングケアラー。誰を世話しているかというアンケートで最も多かったのは、中学生、高校生いずれも「きょうだい」だったという。(中学生の61.8%、高校生の44.3%)
その多くが小学

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【ヤングケアラー】国が打ち出した4つの支援策って?#1

【ヤングケアラー】国が打ち出した4つの支援策って?#1

つい先日、ヤングケアラーについて記事を書いたところ、たくさんの方に見て頂くことができました。それで、国として具体的にはどんな対策を打ち出しているのか気になったので、今回は続編をお届けします。

①早期把握

先日の記事に書いた通り、家庭の事情というのは表面化しにくいものがある。ヤングケアラー自身が介護をしているという自覚がないまま、家族の介護をしているという事実。

そして支援策として提案されたの

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いざ出航。 介護を終えた、いまの気持ち

いざ出航。 介護を終えた、いまの気持ち

父の介護が始まったとき、全ての色を失ったような気分だった。だって、余命3カ月ってあまりにも短すぎる。それに加え、家はゴミ屋敷になっているし、保険も入っていないだと……!!!





まぁ、ゴミ屋敷になった実家についてはこれまでにもたくさんの記事を書いたので割愛するとして、余命3カ月と宣告された父とどう向き合って良いか戸惑う日々だった。
いや、刻一刻と3カ月のリミットは迫ってくる。戸惑ってい

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周りにヤングケアラー(若年介護者)はいませんか?

周りにヤングケアラー(若年介護者)はいませんか?

わたしの学生時代の友人でMちゃんという女の子がいた。一緒に電車に乗って通学を共にする友人の一人だ。彼女はどこか影があった。どちらかと言うと騒がしいタイプのわたしには、Mちゃんは”大人しい子”という印象だった。

大人になり、そのMちゃんについて他の友人からこんな話を聞いた。





友人:「Mちゃんって、いつもかわいそうだったよね」

わたし:「何が?」

友人:「だってご飯作ってもらえな

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病は気からと申します。【新型コロナ】

病は気からと申します。【新型コロナ】

どちらかと言うと…というか、どちらと言わずとも、わたしはひきこもり主婦である。
我はひきこもりなり!と高らかに宣言して、何ら恥じない生活をしてきた。





わたしがひきこもりである理由の1つは、人との接触が苦手だから。そして、もう1つ理由を挙げるとするなら、それは多趣味だからだ。外に出ている暇がない。編み物、ピアノ、革細工、植物。(思ったよりも少なかった💦)

ま、趣味が多いか少ないか

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家族をハッピーにする”お届けもの”【新型コロナ】

家族をハッピーにする”お届けもの”【新型コロナ】

土曜の昼下がり。ピンポーンと来客を知らせるインターホンの音で、娘はようやく目を覚ました。宅配便が届いたのだ。





週明けの火曜だったか、月曜だったか。その辺りから体調を崩していた娘は、まんまとコロナ陽性と診断された。咳が続いていて、体調はあまり良くないようだ。

しかし、隔離されているのを良いことに、毎晩ゲームや長電話に興じている。深夜、娘の部屋からはキャッキャキャッキャと笑い声が聞こ

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介護疲れ、明日は我が身かもしれません。【介護の相談窓口】

介護疲れ…と聞いても、ちょっと前まではピンとこなかったけれど、介護を経験した今ならわかる。





介護疲れそう。このテーマで記事を書こうと思ったのは、毎週のように介護疲れで家族を殺めてしまった…といった悲しい事件を目にするから。わたしの介護経験は父が突然の入院をして、退院をしてから亡くなるまでの3カ月ほど。

3カ月1クールのドラマが始まってから終わるまで、と考えれば短いものだ。

だけ

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プロフィールは固定するべき?【遅ればせながら、はじめまして #2】

プロフィールは固定するべき?【遅ればせながら、はじめまして #2】

noteを続けるコツやフォロワーさんを増やすコツなどが書かれた記事を読んでいると、プロフィールを固定する…といった事例が紹介されている。今日、わたしのnoteを見てくれている画面の前のあなたも、そのような記事を目にしたことがあるのではないだろうか。





先人のありがたい記事が数多く紹介されているというのに、わたしのプロフィールはすっかり過去の記事に埋もれていた。

改めて、【ほのじ介護

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ゴミ屋敷で孤独死しないために、何ができるか考えてみた。【ゴミ屋敷からのSOS】番外編

ゴミ屋敷で孤独死しないために、何ができるか考えてみた。【ゴミ屋敷からのSOS】番外編

うちの父はゴミ屋敷で孤独死寸前でした。
体調が悪くなって☞わたしにSOSを出して☞ゴミ屋敷から病院へ脱出できたけれど、放っておけば間違いなくゴミ屋敷で孤独死していたと思います。
どぎつい書き出しですみません。初めてこのnoteに辿り着いて下さった方のために、簡単にまえがきを記します。

まえがき

わたしの父は亡くなる日まで独り暮らしをしていました。昨年9月に病気が発覚し、年が明けた今年の1月に、

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深夜のLINE、恋愛事変第二章。

深夜のLINE、恋愛事変第二章。

いつも朝は機嫌が悪いのに、今日はやたらとよく喋る。わたし掃除してがいるところに、ペラペラとしゃべりながら茶々を入れてくる。我が一人娘よ。




化粧を整え、一息ついた娘に「出かけるの?」と尋ねる。

なんとなく、察する。だって、数日前から我が家には不穏な空気がたちこめていたから。

わたしはそそくさと掃除を終わらせ、ジムへと出かけた。重たい空気をまとった娘が空回りの元気を見せているのが、いた

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